[告発事例]
東京理科大、動物実験施設外で遺伝子改変マウスを飼育
動物の福祉を無視
2004年3月、東京理科大学生命科学研究所および同大薬学部における、ずさんな動物実験施設管理の実態について、SATCでは内部告発の情報を得ました。
5月11日・13日には、この告発の事実をうけ、谷博之参議院議員が文教科学委員会および厚生労働委員会で問題点を指摘。その後テレビ、新聞各紙で、大学側の特別調査委員会の調査結果などが報道されました。
以下、その問題点の概略を大きく2点にわけご紹介します。
問題点1.遺伝子改変マウスのずさん管理
千葉県野田市にある東京理科大学の生命科学研究所では、外部と遮断した専用の実験施設で行うべき遺伝子改変マウス(特定の遺伝子が破壊されたマウス)の実験に関して、一般の研究室にマウスを持ち出し実験をおこなう実態があった。
大学側は、「マウスが外界に逃げることはなく、人体や自然界に影響を与えることは考えられない」と説明するが、2003年10月には、施設周辺で実験動物と思われるマウスが逃げ出しているのを周辺住民が発見。野田市保健所に通報を行っている。
さらに東京理科大学は、「遺伝子改変マウスは免疫力が低いため、自然界では長生きできない」と説明するが、そのマウスを無菌の専用施設の外で飼育し、長年実験に使用してたのである。つまり、遺伝子改変マウスが外界で繁殖することは大いに考えられ、現在はその変化、影響は表面に出なくとも、将来、未知の問題が起こる可能性は否定できない。
たとえば生態系への影響や、異常な繁殖力を持つスーパーマウスの出現といったこと、またそのマウスが人間にとって危険なウイルスを媒介するようになる可能性など、さまざまな危険性をはらんでいるため、昨年「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」が施行されている。
問題点2.動物福祉や倫理観の欠如した飼育
もうひとつの大きな問題に、動物福祉や倫理観の欠如した飼育という実態があった。例えば、
- 5匹用のケージに37匹、10匹用のケージに50匹のマウスを入れる。(体が重なり合いケージは熱くなる状態)
- その中での共食い。
- 同じケージ内で繁殖を繰り返す。(何世代にも渡っているため、近親交配も)
- ケージのふたをしめる時に尻尾が引っかかり、そのままふたを閉められ、尻尾が切れてしまう。
- ケージのふたに手が引っかかり、体がぶら下がったままになる。
- ラットの術後処置に関して、保温などの配慮がなされていなかった。外科処置後に金網のケージでの飼育を継続することは通常ありえない。
等々、多くの虐待が起こっていた。
今回告発を行った企業は、長年、実験動物を利用する研究者や学生に対し、実験動物福祉に関して多くの助言や忠告を行っていたが、ここ数年悪化する一方であり、その現状改善を訴えていた。
リンク! アニマルライツセンターの告発ページ
東京理科大学 動物の福祉を無視!
東京理科大学のずさんな動物実験の実態を告発する
アニマルライツセンターのサイト
(※内部告発キャンペーンに関して、SATCはARCなど他団体と連携した活動を行っています)
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マスコミ報道リスト
組み換えマウスずさん管理 東京理科大、内規に違反 [共同通信 5月18日]
(日経他、各地方紙にて報道) |
マウスの免疫研究、専用設備外で実験
−−東京理科大、ずさん管理を陳謝 /千葉
[毎日新聞 5月20日] |
東京理科大 遺伝子組み換えマウスを逃走防止設備のない研究室で
[NHK速報ニュース 5月19日] |
東京理科大ずさん管理 遺伝子組み換えマウス
[東京新聞 5月20日] その他地方紙各紙 |
東京理科大 実験用マウス、ずさん管理 [産経新聞 5月20日] |
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