EU域内では、2004年から化粧品の最終製品(完成品)のための動物実験の実施が禁止され、2009年からは化粧品原料のための動物実験も禁止されました。2009年は、同時に、動物実験された原料を使った化粧品の取引も禁止され、輸入もできなくなりました。取引については、一部の動物実験が2013年まで適用除外とされていたのですが、2013年3月11日、それらの動物実験を行ったものについても取引禁止が施行され、完全禁止を迎えることになっています。

※EUの禁止は、
動物実験の実施の禁止(Testing ban)と
動物実験された製品・原料等の取引の禁止(域外で動物実験されたものの輸入を禁止するためのMarket ban)
の2つから成っています。

1993年 化粧品の動物実験の段階的な廃止を合意
2003年 EU化粧品指令第7次改正(スケジュールが決定された)
2004年 化粧品の最終製品(完成品)のための動物実験禁止の施行
2009年 化粧品成分も含めた動物実験禁止の施行
    動物実験をした成分を含む化粧品の取引禁止の施行(ただし、一部の試験法に例外あり)
2013年3月11日 例外もなくなり、完全禁止施行が実現
2013年7月11日 EU化粧品規則施行(成立は2009年)

参考情報

参考外部リンク


※以下は、STOP ANIMAL TEST! CAMPAIGNの陳情資料として2004年に作成した資料からの転載です。現在は、EU化粧品規則に則った規制に移行しています。EU域内で禁止が実施される以前の状況の記録として残しました。現在の状況はJetroのサイトが参考になります。

市民運動の高まりを受け、1990 年代後半から、EU各国では化粧品の動物実験について法的規制を設ける国が増えています。

■オランダ

1997 年5月、「動物実験法(The Dutch experiments on animals act)」によって、化粧品の新製品開発、既存の製品の動物実験を禁止。

条文和訳
第10d 項
新たに開発される化粧品および「生産物に関する法令」によって取り決められた既存の化粧品のためにいかなる動物実験も行ってはならない。

■ドイツ

1998 年5月、「動物保護法(Tierschutzgesetz 1998 (German Animal Protection Act 1998)」により、タバコ、洗剤とともに、化粧品開発のための動物実験を原則禁止。「原則」ではありますが、改正後現在まで1件もそれらの実験は許可されておらず、実質上の禁止と言えます。

条文和訳
第7条 第5項
原則として、タバコ、洗剤、および化粧品の開発のための動物実験を禁止する。連邦政府は、連邦参議院の同意の下、厚生省が以下のいずれかの状況と認める場合においてのみ例外を要求することができる:
1.健康に有害な状況を特定する必要がある場合および要求されるデータを得るためにどうしても避けられない場合
2.ECの法令によって定められている場合

■イギリス

1998 年11 月、化粧品の安全性関連の法律(The Cosmetic Products (Safety) Regulations)によって、化粧品の原料から完成品にいたるまですべての動物実験を禁止。
成立までの経過としては、最後まで動物実験廃止に反対していた化粧品メーカーが、消費者の抗議の高まりによって動物実験のライセンスを返上、自主的に廃止せざるを得なくなったということもありました。

条文和訳
特記事項
(3)いかなる者も、1998 年1 月1 日以降、本法律で定められた安全性を満たす目的で動物実験の行われた一つ以上の原料を含む化粧品を販売してはならない。
(4)製品ラベル、製品の宣伝および広告における、動物実験に関する文言は、行われた実験がその製品の原料に対するものか完成品に対するものかを明確にしなければならない。
(5)いかなる者も、上記(4)項における要求事項が満たされていないいかなる化粧品も販売してはならない。

■オーストリア

1999 年7月、「動物保護法」によって化粧品の動物実験が禁止になりました。

■スイス

成分に関してではないですが、化粧品の完成品に関して動物実験が禁止されています。

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