このたびの地震で被災された皆様には、心からお見舞いを申し上げます。多くの人の命や生活が奪われましたが、同時に多くの動物たちも命を絶たれた悲しい災害だと思います。

今回の大震災では、被災動物についても好意的な報道などがかなりあり、救済のための動きも活発に見えるのは、一条の光です。

しかし…このような状況下で、動物愛護を騙る恥ずかしい動きにも注意を払わなければならないのは、非常に残念でもあり、悔しいところです。

栃木県宇都宮市に住所をおく、NPO法人動物愛護福祉協会は、下記の報道にあるとおり、昨年、動物愛護法違反で書類送検されたような団体ですが、なんとツイッター上に募金口座などを公開し始めました。(当時と口座番号が同じですので、間違いないと思います) 代表者宅の庭の動物たちの悲惨な状況を伝え聞いていましたので、あいた口がふさがりません。

※追記:3/25、口座番号の入ったツイートは削除されたようです。ですが、引き続きご注意下さい。
※追記2:3/25、続けて栃木のボランティアセンターの登録情報へのリンクが削除されました。

※追記3:続きを掲載しました。

サイト上に活動報告もないような団体に募金をする人がいるとは思えませんが、犬や猫を飼えなくなった人から有料で引き取りを行って放置することをしてきた団体ですから、電話をする人がいないか、それだけが心配です。

類似の名称を騙られて、ある意味被害にあっているともいえる社団法人日本動物福祉協会は、この団体を告発するに至った経緯をホームページに掲載しています。

劣悪多頭飼育のNPO法人告発に至る経緯について
http://www.jaws.or.jp/information/detail/data_14.html
拡散用短縮URL: http://bit.ly/hD1WWT

上記のページでは、問題の団体名が公表されていませんが(後日公開されました)、下記の新聞記事には名称がありますので、信頼していただくためのソースとして転載をいたします。

動物愛護法違反:「犬猫を衰弱死」 日本動物福祉協、NPOを刑事告発 /栃木
毎日新聞 2009年12月19日朝刊
元URLはリンク切れですが、当時転載された方がいます:http://news.kogenta.ciao.jp/?eid=992031

県に無登録で飼い主が育てられなくなったペットを有料で引き取り、満足な飼育をせずに衰弱死させていたなどとして、社団法人「日本動物福祉協会」栃木支部(川崎亜希子支部長)は18日、宇都宮市の特定非営利法人「動物愛護福祉協会」(今年1月、活動休止)を動物愛護法違反などの疑いで県警に刑事告発した。

宇都宮中央署は同日、告発状を受理した。

告発状などによると、同協会は約5年前から活動。犬や猫などのペットを飼育できなくなった飼い主らに「終生面倒を見る」などと触れ込み、県に無登録で手数料を取って引き取り管理していた。しかし実態は自宅庭先で動物を放置。満足な餌を与えず、狂犬病予防接種やふん尿の片づけをせず、衰弱死させたなどとしている。(以下略)

また、地元紙である下野新聞も、何度かこの団体の件を報道しています。書類送検された件については、下記の記事があります。

動物愛護法違反などの疑い NPO法人を書類送検 宇都宮中央署
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20100614/336604 (すでにリンク切れ)
下野新聞「SOON」 2010年6月15日

犬に餌を与えず衰弱死させたなどとして日本動物福祉協会栃木支部が宇都宮市内のNPO法人などを刑事告発していた問題で、宇都宮中央署が動物愛護法違反と狂犬病予防法違反の疑いで、NPO法人と代表理事の男性を書類送検していたことが14日までに、同署などへの取材で分かった。これまで同法人をめぐっては悪臭や騒音などで近隣住民らとトラブルになっていた。

同署などによると、代表理事は2009年、同市内の自宅で手数料を取って犬数匹を預かったにもかかわらず、排せつ物の処理や餌やりなどを行わず衰弱死させた疑い。また年に1回受けることが義務付けられている狂犬病の予防注射を受けさせなかった疑いが持たれている。 (以下略)

ちなみに、宇都宮市の議会でも、取り上げられたことがあります。議事録で詳細がわかると思います。

宇都宮市議会のサイトより該当部分を転載(呼称もそのまま転載です、申し訳ありません):
平成20年 第4回定例会(第3日目12月12日)

No.4 塚田典功君
最後に、NPO法人の情報公開について質問いたします。

特定非営利活動促進法、NPO法が施行され約10年がたち、継続的組織運営の基盤を持つために法人格を取得する団体も多く、認証数も増加してきました。

このような中、NPO法の理念を損なうような活動が報道されており、市民の間で定着しつつあるNPO法人に対する信頼を損なうおそれがあります。近年、NPO法人が事件報道された例では、障がい者への賃金の未払いなどで認証が取り消しになったケース、詐欺事件を起こしたNPO法人や、NPO法人と言いながら、実態は暴力団関係者の資金源になっていたケースなど、弱者が被害に遭うような悪質な事件を起こし、健全な社会貢献活動を行っているNPO法人全体の信頼にも悪影響を及ぼしています。

宇都宮市においても、NPO法人動物愛護福祉協会という団体が市民の間で大きな問題となっております。この団体は、定款で動物愛護をうたっていながら、実態は大きく異なり、栃木県の動物愛護行政からも、動物愛護法に基づく改善勧告が出されたりする事態になっております。また、この団体の代表の方は、動物を引き取る際に金銭要求などで要求をのまない市民をおどかすなど、市民を恐怖に陥れるようなトラブルまで起こしています。

「ずっと可愛がって面倒を見るよ」「里親探しをするね」などと言っては金銭をもらって動物を集めていますが、実態として、動物たちは劣悪な状態に置かれるなど、飼養管理もずさんで、一時は悪臭と騒音で日常生活に支障が出たり、自分で防疫対策を行わなくてはならなかった住民もいました。このNPO法人動物愛護福祉協会の活動は、動物愛護とはほど遠い実態があり、市民やほかの動物愛護団体からも、NPO法の違反や狂犬病予防法、動物愛護法などの法令違反ではないかという疑問、活動に対する懸念など、多くの情報が寄せられているところです。

NPO法は、NPO法人についてみずからに関する情報を積極的に公開することによって市民からの信頼を得て、市民によって育てられていくものとの考えに立ち、広範な情報公開制度を設けることによって、広く市民のチェックのもとに置くこととしています。それに基づき、既に内閣府を初めとして多くの地方自治体でもNPO法の運用方針が作成され、市民への説明要請が行われております。
宇都宮市としては、NPO法人に関する情報をできるだけ広く市民に提供し、市民による選択、監視機能が一層発揮されるための環境を整備するためにNPO法の運用方針を作成し、市民による選択、監視機能である市民への説明要請が実施できるように進めることが大切です。さらに、広報紙やホームページなどで、NPO法の情報を公開して、市民の方が選択できるようにすることが早急に必要と思われますが、見解をお伺いいたします。

また、NPO法人動物愛護福祉協会については、栃木県から動物愛護法に基づく改善勧告が出されたことやその活動に対しての懸念が払拭できないことからも、法に基づく改善命令などを順次行い、改善がなされない場合や法令違反があった場合には認証を取り消すなど、市民を不安に陥れないような制度づくりが急務だと考えます。この件に対する宇都宮市の現在までの取り組みについてお伺いいたします。

また、NPO法を所管するみんなでまちづくり課だけでなく、宇都宮市保健所や栃木県動物愛護指導センター、警察などと情報交換を行い、協力しながら、罰則の執行も視野に入れ、事態解決に向けた取り組みが必要だと思いますが、見解をお伺いいたします。

以上で私の質問をすべて終わらせていただきます。

No.11 自治振興部長(小林貞夫君)
安心して暮らせるまちづくりについてのうち、NPO法人の情報公開についての御質問にお答えいたします。

NPO法人動物愛護福祉協会の件に対する宇都宮市の現在までの取り組みについてと関係機関と連携した事態解決に向けた取り組みにつきましては、権限移譲を受ける際に県と十分な情報交換を行うとともに、周辺住民からの情報提供や庁内関係課の連携により事態の把握に努め、NPO法に基づく立ち入り検査や改善命令の可能性について関係機関と検討してきたところでありますが、法に基づく監督の段階までには至らない状況にあります。今後とも、県動物愛護指導センターや県警察なども含め、関係機関とのさらなる連携を図りながら、NPO法の適正な執行に努めてまいります。