吉祥寺  東京都文京区本駒込3-19-7
 

・・研究に手をかけてその命を絶ちたるシロネズミの数知れず。
・・みな心の中にシロネズミのあの赤い眼の色を抱く。・・
ふと現われてまた消えゆきたる
これらこれらもの言わぬ生類の幻の命も
命に変わりあるべしとは思えず。
あわれ命ある者の命よと念じて此碑を建つ。

吉祥寺 シロネズミの碑があると聞いては、出かけないわけにはまいりませんっ。しかも実験用アルビノマウスの慰霊碑と聞いてしまっては!……ということで、東京は本駒込まで足を運んできました。某動物実験反対団体の事務所と目と鼻の先なんですが、行ったのは吉祥寺だけですよ(^ ^;。(注:その後事務所は移転しました)

 ここに眠っていらっしゃるのは、吉田富三博士とおっしゃる、がん研究の権威でらっしゃった先生です。『ネズミと日本人』(長谷川恩)という本によれば、自分たちが使用した実験動物たちの慰霊碑をたてることがご本人の生前の希望で、博士の没後、お墓の隣に建てたのはご遺族やお弟子さんたちであろうとのことです。

シロネズミの碑 右に写真を載せましたが、シンプルでかわいい、マウスサイズ(?)の碑です。閑散としていることを想定して、お花を少し持っていったのですが、ちゃんとお花が供えてありました。感動。広尾の鼠塚とは大違い!

 碑右手にある碑文(上記)が涙を誘いますよぉぉ。やっぱりシロネズミはあのかわいい赤い眼が心に残るのですね(; ;)。吉田博士の直筆をもとに制作されているそうです。

 境内には他に生花市場の方たちが作ったと思われる、超ビックで美しいお花の慰霊碑があったのですが・・それに比べて、なんとネズミの碑は小さくつつましいこと。一応人類に貢献していることになっているのに。(あまり認めていませんが(^^ゞ)……でもマウスにはこういうかわいいのが似合うかな。

 実はお墓の脇に御名刺受がありました。ここを訪れる後輩の方々がいらっしゃるのでしょうね。当「さよなら、じっけんしつ」の名刺をいれて来ようかとも思いましたが、招かれざる客のような気もしたので入れてきませんでした(あはは)。

 やっぱり、こういう動物への思いのある場所に来ると、「実験動物の犠牲がなくなるよう、あの世からお力添えを下さいませ~」なんて思ってしまいます。ちょっと今日は毛色の違ったお客でした。ゴメンね、先生。隣で遊んでるマウスたちによろしく。

 ちなみに、一般の墓地の中にあるので、最初場所がわからず、お寺の方に場所を聞きました。一応地図を描いてみましたが、わかりずらかったらごめんなさい。吉祥寺は、著名人も数多く眠る、静かで美しいお寺です。先祖がとても大事にされているお寺のように思いました。静かにお参りしましょうね♪

(2001.3.24訪問)

地図吉祥寺

・交通案内

  • 地下鉄南北線「本駒込駅」下車徒歩2分
  • JR「駒込駅」徒歩10分または、都バス「茶51系統」東京駅丸ノ内北口行乗車、「吉祥寺前」下車
  • JR「御茶ノ水駅」から都バス「茶51系統」駒込駅南口行乗車、「吉祥寺前」下車

・縁起

 

太田道灌による江戸築城の際、「吉祥増上」の刻印が出てきたことにより始まる。明暦3年の振袖火事により全焼、現在の駒込に移転。また、関東における曹洞宗の宗門随一の学寮「栴檀林」がおかれ、多くの学僧がいた。戦災でそのほとんどが焼失し、山門と経蔵だけが現存。本堂、書院、庫裏などは昭和39年に再建されたもの。

・名所

  • お七・吉三の比翼塚(振袖火事といえば、八百屋お七でございます)
  • 川上眉山の墓
  • 二宮尊徳の墓(ご本人?はあちこちで拝見しましたが、お墓はここに)
  • 小出浩平「こいのぼり」曲譜
  • 縁結び吉祥観音(日中国交10周年記念) などなど

・ふろく

近くの石材店にて。石像にくっついてたネズミたち(笑)。

 


シロネズミの碑


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