産総研・カルタヘナ法と税金のムダに関連する質問主意書のやりとりです。

2007.8.17最終更新

質問主意書に対する答弁書は、国の公式見解となるものです。長いですが、参議院のサイトから転載し、各質問番号をクリックすると答弁へ飛ぶように編集しました。日本という国の、遺伝子組換え動物の管理や動物実験自体に対する意識は「この程度か」と驚く内容です。どうしてもツッコミを入れたくなってしまい、ピンクでコメントを書き入れました。
 

谷博之参議院議員による質問主意書

件名:
独立行政法人産業技術総合研究所等における動物実験施設に関する質問主意書

提出回次:
164回
提出番号:
79
提出日:平成18年 6月14日
転送日:
平成18年 6月16日
答弁書受領日:
平成18年 6月22日

本文

質問第七九号

独立行政法人産業技術総合研究所等における動物実験施設に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年六月十四日

谷   博  之   

       参議院議長 扇   千  景 殿

独立行政法人産業技術総合研究所等における動物実験施設に関する質問主意書

 本年六月一日、実験動物に対する3Rの原則(苦痛の軽減、使用数の削減、代替法の活用)が明記された改正動物愛護管理法(動物の愛護及び管理に関する法律)が施行された。これに関連して環境省は「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」、文部科学省は「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」、厚生労働省は「厚生労働省における動物実験等の実施に関する基本指針」、農林水産省は「農林水産省の所管する研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」をそれぞれ定めている。さらに日本学術会議も「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」を公表している。

 一方、本年五月一七日私は、経済産業省が所管する独立行政法人産業技術総合研究所(以下「産総研」という。)つくばセンター第六事業所(茨城県つくば市)の動物実験・飼育施設において、カルタヘナ議定書の履行を担保する国内法としての「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(以下「カルタヘナ議定書担保法」という。)及び動物愛護管理法の違反がある旨の指摘を受けた。私が説明を求めたところ、経済産業省から五月三〇日に回答があり、少なくとも本年三月の時点で表示義務違反などのカルタヘナ議定書担保法違反があったことがわかった。

 遺伝子組換え生物のずさんな管理は、周辺の生態系に甚大な影響を与えるのみか、近隣の住民にも深刻な不安を呼ぶ。多大な国費を投入しての先進的な生命科学分野での研究推進に国民的理解を得るためには、政府関係機関が法令を遵守することは必須であり、さらに法令の理念を踏まえた情報公開が必要である。
 このような観点から、以下質問する。

 国及び独立行政法人の保有する施設で、日本学術会議の「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」の第一定義にある「動物実験等」を実施している施設の名称及び所在地を明らかにされたい。なお、これらの施設が届出制ではないことは承知しているので、答弁に当たっては可能な限り把握に努められたい。

 日本学術会議参加の学会のうち、日本学術会議の「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」の第一定義にある「動物実験等」を実施している会員を有する学会の名称を明らかにされたい。

 一及び二で取り上げた施設及び学会に対し、環境省、文部科学省、厚生労働省及び農林水産省が定めた基本指針等を遵守させるために、それぞれどのような周知徹底の方策を予定しているか。また、日本学術会議は「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」を遵守させるために、どの省庁の協力を得て、どのような周知徹底の方策を予定しているか。

 経済産業省は、環境省、文部科学省、厚生労働省及び農林水産省が定めた基本指針と同様の指針を策定する予定はあるか。ないならばその理由を示されたい。

 カルタヘナ議定書担保法上の遺伝子組換え生物等の第二種使用等のうち、拡散防止措置が主務省令で定められておらず、同法第十三条の主務大臣の確認を受けた拡散防止措置が取られている施設の名称、所在地及び確認申請者の人数とその者の所属先を明らかにされたい。

 国及び独立行政法人の保有する施設で、カルタヘナ議定書担保法上の遺伝子組換え生物等の第二種使用等を行っている施設の名称及び所在地を明らかにされたい。また、このうちカルタヘナ議定書担保法第十二条に基づく主務省令で定める拡散防止措置が取られている施設はどこかを明らかにされたい。なお、これらの施設が届出制ではないことは承知しているので、答弁に当たっては可能な限り把握に努められたい。

 カルタヘナ議定書担保法の施行後、遺伝子組換え生物等の第二種使用について、これまでに明らかになっている同法違反事例はどのくらいあるのか。違反していた条文ごとに整理して示されたい。

八 文部科学省は昨年八月一日に国立大学や独立行政法人、民間企業など四十四機関に対して、カルタヘナ議定書担保法違反を発見し、厳重注意を行った。
 これは、たまたま文部科学省が所管する財団法人実験動物中央研究所(以下「実中研」という。)が、昨年四月に農林水産省からカルタヘナ議定書担保法違反で厳重注意を受けたことから、実中研と遺伝子組換え動物の譲渡等を行っていた四十五の大学や研究機関、民間企業等に調査を行ったところ判明したものである。実に九十七・八パーセントに当たる四十四機関がカルタヘナ議定書担保法違反であったという、誠に深刻な「ざる法」状態であった。

 この文部科学省の調査は、実際に施設に立ち入るなどして行われたのか、資料提出などの方法だったのか、具体的な調査方法を示されたい。また、今後はこれらの施設に対して定期的な立入調査を行うことを検討しているか。

 このような深刻な事態を受け、文部科学省は昨年八月から九月にかけて、全国でカルタヘナ議定書担保法の説明会を開催し、周知徹底を図ったところと承知している。昨年八月三〇日の一橋記念講堂及び九月九日の京大ローム記念館大ホールにおいて行われた説明会は、どのような方法で周知したのか。

 また、両説明会に参加した大学・研究機関・事業者の名称及びその中に経済産業省所管の機関は含まれていたか否かを示されたい。

 産総研は、2で示した文部科学省の一連の説明会のいずれかに参加していたのか。参加していなかったのであればその理由を明らかにするとともに、産総研がカルタヘナ議定書担保法の周知徹底についてどのような取組をこれまで行ってきたのかを明らかにされたい。

九 産総研が本年六月九日に私に提出した資料によると、本年三月二七日に産総研動物実験委員会委員が行った「産総研つくばセンターの動物飼育施設の外部有識者による実地調査」において、第六事業所の他に、第二事業所、第四事業所、東事業所において、表示義務違反をはじめとする数々のカルタヘナ議定書担保法違反が指摘され、産総研に報告されていたという。

 この調査は、どのような背景があってこの時期に行われたのか。また、当時なぜ文部科学省にこの事実を通知しなかったのか。既に通知しているならその時期も併せて示されたい。

 このような調査は、つくばセンター以外の産総研施設においても行われたのか。行われたのであれば、その時期と内容をすべて明らかにするとともに、全国の産総研関連施設におけるカルタヘナ議定書担保法の施行以来の遵守・違反状況を明らかにされたい。

 第六事業所に出入りしていた実験動物飼育の下請業者は、以前から表示義務違反をはじめとする数々のカルタヘナ議定書担保法違反があったと私に指摘しており、既に二〇〇四年九月一五日には、当時の産総研つくばセンター第六事業所動物実験委員会委員長に報告したとしている。産総研は、第六事業所におけるカルタヘナ議定書担保法違反の事実をいつから把握していたのか。

 産総研の事例から推測すると、文部科学省のこれまでの取組にもかかわらず、カルタヘナ議定書担保法違反は依然として全国に蔓延していると容易に想像される。今後、文部科学省は、周知徹底と取締りについて具体的にどのような取組を行うつもりか。

十一 カルタヘナ議定書担保法の遵守を確実にするための十分な周知徹底を行うためには、文部科学省は、省庁の所管を越えて、遺伝子組換え生物の第二種使用を行っているすべての機関を把握していなければならないと考えるが、いかがか。また、それ以外に周知徹底を行う方法があれば具体的に示されたい。

十二 産総研つくばセンターの通称「倉地ビル」と呼ばれる6-13棟(以下「倉地ビル」という。)は、二〇〇〇年度の国の補正予算三十四億一千万円(うち設計予算一億三千万円)をかけて建設され、二〇〇三年三月二八日に完成したと承知している。

 産総研の二〇〇三年度年報によると、倉地ビルは「有用糖タンパク質の生産を行う遺伝子改変細胞、医療・検査薬開発に重要な役割を示す糖鎖関連遺伝子の解析を行う事を主目的とした施設」とされている。現在、倉地ビルはこの主目的で使われているのか。

 完成後現在に至るまで、倉地ビル三階にある特定病原体を持っていない(Specific Pathogen
Free)動物(以下「SPF動物」という。)の専門の飼育施設(以下「SPF飼育室」という。)が使用できない責任はどこにあるのか。複数にまたがるのであれば、どの省庁あるいはどの業者にどのような責任があるのかを明確にされたい。

 倉地ビルに要した建設・設計予算のうち、SPF飼育室にかけた金額はいくらか。また、三年間も使わなかったことは国費の無駄遣いではないかと考えるが、いかがか。

十三 政府が把握しているSPF飼育室を持つ実験動物飼育施設並びに国及び独立行政法人のSPF飼育室を持つ施設の数をそれぞれ示されたい。また、倉地ビルのSPF飼育室はそれらと比較して何か画期的な点があるのか、具体的に明らかにされたい。

十四 産総研はこれまでの私の照会に対し、倉地ビルのSPF飼育室には、米国ミシガン大学で使用しているマイクロベントシステムという我が国では大変画期的な個別換気ケージ(Individually
Ventilated Cage,以下「IVC」という。)を設置している旨を説明している。

 それでは、政府が把握しているIVCを設置している実験動物飼育施設並びに国及び独立行政法人のIVCを設置している施設の数をそれぞれ示されたい。また、倉地ビルのSPF飼育室のマイクロベントシステムはそれらと比較して具体的にどこが画期的であるのか明らかにされたい。

十五 倉地ビルのSPF飼育室の設計は、二〇〇一年五月、国土交通省が伊藤喜三郎建築研究所と契約して始められたと聞く。

 この設計において、SPF動物の飼育の専門家の関与はなかったと承知しているが、その理由はなぜか。また、SPF飼育室の設計において、SPF動物で実験を行う研究者以外には、マイクロベントシステムの設置業者の意見を聞くだけで足りるとした根拠は何か。

 国土交通省は、伊藤喜三郎建築研究所に対して、どのような経緯でこの設計を依頼したのか。伊藤喜三郎建築研究所の動物実験施設や実験動物飼育施設についての実績について事前に把握していたことがあれば、具体的に示されたい。また、伊藤喜三郎建築研究所との契約について、随意契約、一般競争入札等の区別を明らかにされたい。

十六 倉地ビル三階における不具合ないし瑕疵工事の経緯や実態について、二〇〇四年二月までに産総研年齢軸生命工学研究センターのある研究員が、大変分厚い報告書を書いたと聞いている。そのような報告書は産総研に存在するか。存在するなら、その報告書のタイトル及び作成年月日、概要、提出先及び保管先を明らかにされたい。

十七 産総研が二〇〇三年一一月に立ち上げた「6-13棟施設調査検討委員会」及び「SPF機能調査小委員会」について、それぞれの設置趣旨及び委員の氏名・役職を示すとともに、どのような成果があったのかを明らかにされたい。「SPF機能調査小委員会」の他に小委員会があるのであれば、それぞれの小委員会の名称、設置趣旨及び委員の氏名・役職も明らかにされたい。

十八 産総研の二〇〇三年度年報において、産総研研究員である倉地須美子氏は「倉地ビルに瑕疵工事があった」と述べている。産総研が、倉地ビルに瑕疵工事、つまり施工上の不具合があると認識したのはいつか。また、設計上の不具合があると認識したのはいつか。

 さらに、国土交通省はこれまでの私の照会に対し、施工上の不具合とは瑕疵工事のことであり、それ以外にレイアウト上の問題を含めて、「建物の不具合」があったと回答しているが、政府は倉地ビルには設計上の不具合があったことも認めるか。

十九 国土交通省及び産総研は、倉地ビルには、三階のSPF飼育室以外にも施工上の不具合(瑕疵工事)及び設計上の不具合があったと認識しているか。「6-13棟施設調査検討委員会」での委員から示された意見をすべて明らかにしつつ、具体的に示されたい。

二十 六月六日に産総研から私にあった回答では、「SPF機能調査小委員会」では、SPF動物の飼育の専門家が「(倉地ビルは)このまま施工上の不具合を補修しても、設計上の問題は解決せず、SPF動物の飼育は困難である」と指摘があったという。これは、「設計図面通りに施工したとしても、求められているSPF動物の飼育室としては条件が満たされていなかった」という意味に理解してよいか。

二十一 現在二億八千万円の国費を投じて産総研が行っている倉地ビルの「高度化」工事について質問する。

 この「高度化」工事は、設計上の不具合を改修する工事であると理解してよいか。

 「高度化」工事の内訳ごとに、契約した施工業者名及び随意契約、一般競争入札等の契約区別並びにそのうちのSPF飼育室部分の工事及び再設計の金額を明らかにされたい。

 「高度化」工事には、施工上の不具合、つまり瑕疵工事部分の補修は含まれておらず、瑕疵工事については責任がある株式会社大日本土木によって「高度化」工事とは別に補修工事が無償で行われていると理解してよいか。仮に「高度化」工事が施行上の不具合の補修も含むのであれば極めて不適切と考えるが、その正当性を明らかにされたい。

 仮に株式会社大日本土木が「高度化」工事も受注しているのであれば、ミスを犯した業者と再度契約していることとなり、極めて不適切ではないかと考えるが、その理由を明らかにされたい。

 もしSPF飼育室以外には設計上の不具合がなかったのであれば、「高度化」工事にかけている国費二億八千万円は、「SPF機能調査小委員会」に参加したSPF動物の飼育の専門家が当初の設計段階から参加していれば必要のなかった費用であり、国費の無駄遣いであると認識するが、いかがか。

二十二 産総研の倉地幸徳年齢軸生命工学研究センター長は、倉地ビル完成後現在までに、財団法人動物繁殖研究所の二階にあるSPF飼育室を借用していた事実があるか。その費用が国費から支出されているのであれば、まさに税金の無駄遣いであると考えるが、財団法人動物繁殖研究所側に産総研が支払った借用料は現在まで総額いくらか。

二十三 二〇〇三年夏ごろ、当時の産総研第六事業所動物実験委員会委員長は、ある研究者が産総研つくばセンターを辞める際に放置していってしまった、実験に使用した中型のサルの引取先を探していたと聞いているが、それは事実か。事実であれば、そのサルの種類、頭数、その後の経過及び現状について明らかにされたい。

二十四 過去五年間、産総研の全国の各施設で飼育してきたサル類の種類と頭数及び入手先、主な実験目的、実験殺等の個体管理記録を、施設ごとにすべて明らかにするとともに、関係法令及び地方自治体の条例に違反する事実がなかったどうか示されたい。

  右質問する。

 

答弁書

答弁書第七九号

内閣参質一六四第七九号
  平成十八年六月二十二日
内閣総理大臣 小 泉 純 一 郎   

       参議院議長 扇   千  景 殿

参議院議員谷博之君提出独立行政法人産業技術総合研究所等における動物実験施設に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

参議院議員谷博之君提出独立行政法人産業技術総合研究所等における動物実験施設に関する質問に対する答弁書

一について

 国及び独立行政法人の保有する施設における「動物実験等」の実施状況を把握するためには、各府省及び各独立行政法人において、本年六月に日本学術会議が取りまとめた「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)の定義に該当する「動物実験等」を行っているかについて調査する必要があるが、そのためには膨大な作業を必要とすることから、お答えすることは困難である。

ツッコミ:
国はどこが動物実験をやっている施設かまったく知らないということです! そして、膨大な数の施設で動物実験がされていると言っているのです。
それでもほったらかしなのです。ビックリ仰天の回答でした…。

二について

 御指摘の「日本学術会議参加の学会」が何を指すのか明らかではないが、協力学術研究団体(日本学術会議の活動に協力することを申し出、日本学術会議の承認を受けた団体をいう。以下同じ。)については、日本学術会議においてその活動内容を詳細に承知する立場になく、お尋ねについてお答えすることは困難である。

ツッコミ:
なんか揚げ足取りっぽい出だしですね(–; 「日本学術会議会則」や「日本学術会議協力学術研究団体規程」によれば、学術会議と協力団体(各学協会)は「緊密な協力関係」を持っているはずなのですが… やはりニュースレターを出したりイベントの後援をしたりする程度が実態ということでしょうか…

三について

 御指摘の四省においては、それぞれの省が定めた基本指針等を、それぞれの省のホームページに掲載するとともに、関係機関へ通知する等、周知徹底を図っているところである。

 また、日本学術会議においては、ガイドラインを公表し、ホームページに掲載するとともに、協力学術研究団体に対して電子メールを配信し、周知徹底を図った。

 御指摘の四省においても、関係機関に対しガイドラインを送付し、周知徹底を図っているところである。

ツッコミ:
送れば周知徹底になる……わけはないから、困るんです!

四について

 平成十八年六月に日本学術会議において策定されたガイドラインでは、適正な動物実験の実施に向けて、独立行政法人、企業等を含む各機関等の自主的な取組が求められていることから、経済産業省としては、現時点では、御指摘のような指針を策定する予定はない。

ツッコミ:
「求められているのに、しないの?」と、一瞬日本語としておかしな文章に感じられますが、国が言いたいのは、「自主的にやれというだけで義務ではないからしないよ」ということです。

五について

 遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成十五年法律第九十七号。以下「カルタヘナ法」という。)第十三条第一項の規定に基づく主務大臣の確認を受けた拡散防止措置が執られている施設の名称及び所在地並びに確認申請者の人数及び所属先については、調査に膨大な作業を必要とすることから、お答えすることは困難である。

ツッコミ:
ええっ、そんなに膨大な数の実験施設で遺伝子組換え実験をしているというのに、一覧表すらないのですか!? これも驚きの回答でした……

六について

 国及び独立行政法人の保有する施設で遺伝子組換え生物等(カルタヘナ法第二条第二項に規定する遺伝子組換え生物等をいう。以下同じ。)の第二種使用等を行っている施設の名称及び所在地並びにこれらのうちカルタヘナ法第十二条の規定に基づき主務省令に定められている拡散防止措置を執っている施設については、調査に膨大な作業を必要とすることから、お答えすることは困難である。

ツッコミ:五に同じです。把握していないんですね…?

七について

 主務官庁において把握し、厳重注意を行った遺伝子組換え生物等の第二種使用等に係る違反事例は、カルタヘナ法第十二条について一件、カルタヘナ法第十三条第一項について九件、カルタヘナ法第十五条第一項について一件及びカルタヘナ法第二十六条第一項について四十五件である。

ツッコミ:
多いですね(T_T)  きちんと措置命令や罰則を適用していけば減るのでは…?

八の1について

 御指摘の調査は、財団法人実験動物中央研究所(以下「実中研」という。)に対する現地調査、実中研に対して遺伝子組換え生物等の譲渡等を行った機関への電話等による照会により行った。
 文部科学省としては、御指摘の四十四機関に対し、定期的な現地調査を行うことは考えていない。

ツッコミ:
ええっつ、そうなんですか!?

八の2について

 御指摘の説明会の開催に当たっては、報道発表、文部科学省のホームページへの開催案内の掲載及び関係機関への開催通知により、周知したところである。
 お尋ねの「両説明会に参加した大学・研究機関・事業者の名称及びその中に経済産業省所管の機関は含まれていたか否か」については、調査に膨大な作業を必要とすることから、お答えすることは困難である。

ツッコミ:
このIT化の時代にありえないよーな……? なんのために税金払ってるんだろう。

八の3について

 独立行政法人産業技術総合研究所(以下「産総研」という。)によれば、平成十七年八月三十日及び同年九月九日に開催された説明会に参加したとのことである。産総研によれば、法令遵守を徹底するため、研修会等により関係者に対しカルタヘナ法及び当該説明会の内容を周知するとともに、外部有識者による動物飼育施設に対する実地調査を実施する等の取組を行っているとのことである。

ツッコミ:
そう言っているからそうなのかというとそうでもなかったりするから困るのです…

九の1について

 産総研によれば、産総研つくばセンターの動物飼育施設の実地調査は、平成十七年四月に策定された産総研の動物実験取扱要領に基づき、動物飼育管理の適正化の観点から、動物飼育施設を指導及び監督する目的で平成十八年三月二十七日に行われたとのことである。

 産総研によれば、この実地調査により、一部の動物飼育施設において、カルタヘナ法に基づく表示義務違反の事実が判明したが、カルタヘナ法においては表示義務違反があった場合の報告を義務付けられておらず、また、速やかに是正措置を講じたことから、文部科学省への報告を行わなかったとのことである。

ツッコミ: 
「報告が義務付けられていないから」と産総研は言っているわけですが、なぜ同法で報告が義務づけられていないかと考えると、そもそも違反すると措置命令だの罰則だのをくらうものなわけで…「自首してください」とはいちいち書かないんじゃないか、という気も。でも罰則は研究者個人にかかるものみたいだから、その事実を知った所属機関の対応というのは定めておくべきなんでしょうか…? でも公務員は、犯罪があると知った場合に告発の義務があるはずなんですが…

 文部科学省に対しては、平成十八年六月二日に、表示義務違反があった旨の報告が産総研から行われている。

九の2について

 産総研によれば、産総研つくばセンター以外の産総研の施設に対する実地調査としては、平成十八年二月七日及び同月八日に産総研関西センターの動物飼育施設について、同年三月二十八日に産総研北海道センターの動物飼育施設について、それぞれ行われ、これらの動物飼育施設においては、遺伝子組換え動物は適正に管理されており、カルタヘナ法に違反する事実は確認されなかったとのことである。

 また、産総研によれば、カルタヘナ法施行後の違反状況については、産総研つくばセンター内の中央二の十二棟において平成十七年七月以降、六の八棟において平成十六年二月以降、六の十二棟において平成十六年二月以降、遺伝子組換え動物を飼育していたにもかかわらずカルタヘナ法に基づく表示がなされていなかった事実があったことが、平成十八年三月に行われた実地調査で判明したが、その後速やかに是正措置が講じられたとのことである。

ツッコミ:
はっきり違反と書いているではありませんか。

九の3について

 産総研によれば、御指摘の第六事業所においてカルタヘナ法に基づく表示義務違反があったことについては、平成十八年三月二十七日の外部有識者による実地調査により判明したとのことである。なお、産総研によれば、御指摘の第六事業所においては、表示義務違反以外のカルタヘナ法に違反する事例は、確認されていないとのことである。

ツッコミ:
しょせん身内の調査だからなぁ……と思うのが人情ですよね……。

十及び十一について

 文部科学省としては、カルタヘナ法の周知を図るべく、カルタヘナ法の施行に関する通知の発出、説明会の開催、ホームページへの関係情報の掲載等を行ってきたところである。
 また、昨年、一部の機関において必ずしも周知が十分に図られているとはいえない事態が明らかになったことから、再度、関係機関等への通知を発出し、周知徹底を行ったところである。
 文部科学省としては、引き続きこうした取組を通じ、関係省庁との連携の下に、カルタヘナ法の周知徹底を図ってまいりたい。

ツッコミ:
ほんとにがんばってほしいです。 厳重注意の報告にいつも、自分たちが周知徹底していなかったのもあるし~というようなことが書いてあるのはそろそろ恥ずかしいのでは?

十二の1について

 産総研つくばセンター六の十三棟(以下「六の十三棟」という。)は、建設計画の当初から、新規な遺伝子機能の解析を行い、その成果を医療等に実用化するための研究を実施することを主たる目的として整備されたものであり、産総研によれば、現在もその目的のために使用されているとのことである。

十二の2について

 六の十三棟の利用に先立ち、特定病原体を持っていない動物の専門の飼育施設(以下「SPF飼育室」という。)の薫蒸前テストを行ったところ、SPF飼育室について施工上の不具合があることが分かったことから、その改善を図るために施設使用を一時休止したものであるが、その後、外部有識者からの汚染に対する備えを強化したより高度な施設とするべきであるとの指摘を踏まえ、施設の高度化に向けた工事を併せて進めているところである。

十二の3について

 六の十三棟の建設及び設計に要した費用からSPF飼育室にかかった費用を抜き出してお示しすることは、困難である。
 六の十三棟については、施工上の不具合の改善を図るために施設使用を一時休止し、その後、外部有識者の指摘を踏まえ、施設の高度化に向けた工事を併せて進めているところである。

ツッコミ:
「併せて」とあるから、高度化ではない工事もあるということではないかと。

十三について

 SPF飼育室を持つ国及び独立行政法人の実験動物飼育施設又は国及び独立行政法人以外の実験動物飼育施設の数については、調査に膨大な作業を必要とすることから、お答えすることは困難である。

ツッコミ:
再び驚き……

 また、SPF飼育室の比較に当たっては様々な観点からこれを行うことが可能であることから、一概に「画期的な点があるのか」についてお答えすることは困難である。

ツッコミ:
さまざまな観点のうちの一つに過ぎないとしても、画期的と言える点がもしあるのなら、言えばいいと思うのです… 言うのが困難というのは、もしかしてないのでは…という疑いを持たせます。

十四について

 御指摘のIVCを設置している国及び独立行政法人の実験動物飼育施設又は国及び独立行政法人以外の実験動物飼育施設の数については、調査に膨大な作業を必要とすることから、お答えすることは困難である。
 また、IVCの比較に当たっては様々な観点からこれを行うことが可能であることから、一概に「どこが画期的であるのか」についてお答えすることは困難である。

ツッコミ: 同上

 SPF飼育室の設計を行うに当たっては、SPF飼育室に関する知見を有する研究者以外に、御指摘のマイクロベントシステムの設置業者、実験設備メーカーや設計業者からも意見を聴いたことからSPF飼育室における環境を適切に確保できると判断したものである。

十五の2について

 御指摘の設計については、公募型プロポーザル方式により株式会社伊藤喜三郎建築研究所を選定し、随意契約を締結したものであり、当該選定手続の過程において、病院施設における動物実験施設及び実験動物飼育施設に係る同研究所の設計実績を把握した。

ツッコミ:
入札じゃなかったんだー。膨大な作業になるから回答するのが困難なほど日本には動物実験施設があるんだから、設計できるところだっていっぱいあるはずなのに、どうして?

十六について

 産総研によれば、平成十五年七月二十五日に、六の十三棟のSPF飼育室の施工の不具合に関する「六の十三棟動物飼育施設施工に関する中間報告書」が産総研の研究環境整備部門に提出され、同部門がこれを保管しているとのことである。

十七について

 お尋ねの「6―13棟施設調査検討委員会」は、産総研・国交省合同調査委員会のことを指しているものと考えるが、産総研によれば、産総研・国交省合同調査委員会の設置趣旨は、SPF機能調査小委員会への諮問事項の決定及び同調査小委員会の答申を踏まえ六の十三棟の今後の整備方針の決定を行うことであり、委員の当時の役職及び氏名は、国土交通省筑波研究学園都市施設管理センター長の太田正男、国土交通省筑波研究学園都市施設管理センター課長補佐の城戸久義、国土交通省筑波研究学園都市施設管理センター課長補佐の中田修、産総研企画本部総括企画主幹の松岡隆、産総研理事・研究環境整備部門長の田中一宜、産総研研究環境整備部門次長の内田修及び産総研研究環境整備部門施設計画室長の中嶋廣義である。

 産総研によれば、SPF機能調査小委員会の設置趣旨は、六の十三棟のSPF飼育室の機能について産総研・国交省合同調査委員会から諮問された事項を調査し、その結果について産総研・国交省合同調査委員会に対し答申することとのことであるが、委員の役職及び氏名は本人の許可を得ていないので公表を控えているとのことである。

 産総研によれば、産総研・国交省合同調査委員会は、SPF機能調査小委員会の調査結果を踏まえて、施工不具合の改修に併せて高度化改修を行うことが妥当であると判断し、これを受けて産総研は、平成十七年五月からSPF飼育室の設計を開始し、平成十七年十二月に高度化工事の契約を締結したとのことである。

 産総研によれば、産総研・国交省合同調査委員会の下にはSPF機能調査小委員会以外に小委員会はないとのことである。

十八について

 産総研によれば、六の十三棟のSPF飼育室の施工不具合については、産総研が平成十五年五月に行った薫蒸前テストを契機として認識したとのことであり、その後の国土交通省と産総研との共同による検証において詳細が明らかになったものである。

ツッコミ:
不具合はあったんです。 でも以下、高度化工事が必要という話にすりかえられていくような…。

 また、SPF飼育室に係る規模、機能等の主要な設計内容には、不具合は認められていないと認識している。

十九について

 六の十三棟の三階にあるSPF飼育室以外では、六の十三棟の二階にある研究室の実験台の天板のゆがみ等の施工上の不具合があったと認識している。また、規模、機能等の主要な設計内容に不具合が認められる事例はないと認識している。
 SPF機能調査小委員会における委員の意見は多岐にわたることから、お尋ねについて、一概にお答えすることは困難である。

二十について

 産総研によれば、御指摘の動物飼育の専門家の指摘は、「設計図面通りに施工したとしても、求められているSPF動物の飼育室としては条件が満たされていなかった」との趣旨の指摘ではなく、管理体制等の面から汚染防止能力を強化したより高度な施設とすべきであるという趣旨の指摘であったとのことである。

ツッコミ:
「より高度な施設とすべき」 というのは、「いまの施設が低レベルだ」、すなわち「使えない」という意味ではないのかなぁ…?

二十一の1について

 産総研によれば、高度化改修工事は、設計上の不具合を改修する工事ではなく、SPF機能調査小委員会による、管理体制等の面から汚染防止能力を強化したより高度な施設とすべきとの指摘に基づき、施設内部の機能を強化するために行われた工事であるとのことである。

二十一の2について

 産総研によれば、高度化改修工事の内訳ごとの契約を締結した事業者名、随意契約、一般競争入札等の契約の区別並びにそのうちのSPF飼育室部分の工事及び再設計の金額については、建築工事にあっては、大日本土木株式会社、随意契約、六千四百五十万円であり、電気工事にあっては、北陸電気工事株式会社、随意契約、四千七百五十六万五千円であり、空調工事にあっては、株式会社大気社、随意契約、一億四千百七十五万円であり、衛生工事にあっては、日管工業株式会社、随意契約、三千四百六十五万円であり、設計にあっては、千代田テクノエース株式会社、随意契約、九百十三万五千円であるとのことである。

二十一の3について

 御指摘の施工上の不具合の補修については、大日本土木株式会社他三社により無償により実施させている。

二十一の4について

 産総研によれば、御指摘の施工不具合の補修と高度化改修工事は、同一の施設を対象としたものであり、同一の事業者がこれらを併せて実施することにより、施工が経済的に実施されるとともに、完成後の施工に対する責任の所在が明らかになることから、高度化改修工事についても、施工不具合の補修を行った事業者と契約したとのことである。

ツッコミ:
だから、 不具合の補修工事もあったのは間違いはず。

二十一の5について

 産総研によれば、産総研による六の十三棟の高度化改修工事は、設計上の不具合を改修する工事ではなく、管理体制等の面から汚染防止能力を強化したより高度な施設にするために行っているものであるとのことである。

二十二について

 産総研によれば、産総研の年齢軸生命工学研究センターは、六の十三棟が完成してから現在までの間、財団法人動物繁殖研究所二階にあるSPF飼育室を借用しているとのことである。

産総研によれば、これまで産総研が財団法人動物繁殖研究所に対して支払った借用料は、平成十六年一月二十日から平成十八年七月三十一日までの間の総額で一億三千九百九万六千三百九十四円であるとのことである。

ツッコミ:
いちおくよんせんまん~!? ちゃんと使える施設だったら、この分の税金を使わなくて済んだのに!! この金額が表に出ただけでも意味があるのかもしれません…

二十三について

 産総研によれば、御指摘の平成十五年夏ごろ、当時の産総研第六事業所動物実験委員会委員長が、ある研究者が産総研つくばセンターを辞める際に放置していったサルの引き取り先を探していた事実はなかったとのことである。

二十四について

 産総研によれば、過去五年間における各年度ごとの産総研で飼育してきた施設別のサル類の種類及び頭数については、平成十三年度における二の一棟にあっては、アカゲザル三頭、ニホンザル十三頭、六の十二棟にあっては、アカゲザル二頭、ニホンザル五頭、北センターにあっては、アカゲザル二頭、ニホンザル十二頭であり、平成十四年度における二の一棟にあっては、アカゲザル四頭、ニホンザル八頭、六の十二棟にあっては、アカゲザル四頭、ニホンザル十頭、北センターにあっては、アカゲザル二頭、ニホンザル十五頭であり、平成十五年度における二の一棟にあっては、アカゲザル七頭、ニホンザル十五頭、六の十二棟にあっては、アカゲザル二頭、ニホンザル五頭、北センターにあっては、アカゲザル二頭、ニホンザル十九頭であり、平成十六年度における二の一棟にあっては、アカゲザル七頭、ニホンザル十四頭、六の十二棟にあっては、アカゲザル二頭、ニホンザル一頭、北センターにあっては、ニホンザル二十六頭であり、平成十七年度における二の一棟にあっては、アカゲザル八頭、ニホンザル十四頭、六の十二棟にあっては、アカゲザル四頭、ニホンザル三頭、北センターにあっては、ニホンザル二十二頭であるとのことである。

 産総研によれば、お尋ねのサル類の入手先、主な実験目的及び実験殺等の個体管理記録については、産総研における動物実験計画書を調査し、集計する必要があり、そのためには膨大な作業を必要とするとのことであり、お答えすることは困難である。

 産総研によれば、産総研の施設において飼育されるサル類に関して、関係法令又は条例に違反する事実は、確認されていないとのことである。