平成16年 6月 定例会(第3回)  06月29日-05号

◆越智邦子議員 (中略)次に、東京理科大学の問題について伺います。5月20日に新聞で報道されました東京理科大学での遺伝子組みかえマウスのずさん管理について伺います。当大学の実験動物の管理を請け負っていた業者の内部告発で明るみに出ました。同大学は過去においてはずさんな管理をしていたことを認めましたが、業者が指摘している内容とは異なっており、徹底究明を求め、国会の文教科学委員会でも取り上げられました。禁止されている遺伝子組みかえマウスの無断繁殖、過剰飼育、またマウスの逃亡など、大学内だけの問題では済まない周辺への感染や生態系の攪乱にまで及ぶ大変な問題を含んでいます。坂口厚生大臣も地域の皆さんの健康に大きく影響し、何らかの感染が起こった場合、あるいは起こり得る可能性があると心配している。かかわりのある話だから十分に対応できるよう保健所に対し体制を整えるようにしたいというふうな答弁をされています。そして、私たち市民ネットワークにも周辺住民から心配の声が寄せられています。そこで伺いますが、環境審議会に理科大から提出された遺伝子組みかえマウスに関する調査報告書の内容とそこで議論されたことについて伺います。大学側は周辺への影響はないと言っていますが、まだ徹底糾明されていないこれらの問題について、市としてどう認識しているかも伺います。(中略)

◎環境部長(滝口巌) (中略)次に、東京理科大学生命科学研究所における実験動物飼育管理について、平成16年2月16日に開催された環境審議会において質問がなされたことから、当大学に学外者を含めた調査委員会を設けて調査を実施した結果の答申に理事会の補足調査を加えた報告がございましたので、同年5月25日に環境審議会を開催し、さきの質問に対する東京理科大学からの説明と質疑応答を行ったものでございます。質問は8項目なされており、その概要を申し上げますと、1つにはマラリアを投与するという禁止されていた感染実験を行ったが、設備も運用規定もないのに感染実験を行えば作業員や環境に実害が出る可能性がある。2つ目として、遺伝子改変動物を逃亡防止等の設備のない場所で日常的に飼育していた。3つ目として、遺伝子改変動物を逃げられない箱で運搬すべきをビニール袋に入れて運んでいた。4つ目として、ごみ置き場等でマウスの逃亡があった。5つ目として、遺伝子改変動物を無秩序に繁殖させた。6つ目として、飼育定数、ケージ定数を守らないで過剰飼育を日常的にしていた。7つ目として、汚染動物を無検疫で購入し、大量繁殖し汚染を拡大させた。8つ目として、実験計画書などの必要な記録がまともに書かれていないというものでございます。この質問に対する理科大学の説明及び今後の対応についての概要を申し上げますと、5月25日の審議会における東京理科大学の回答では、関係法令に違反する実験及び飼育を行った事実はございません。大学などにおける組みかえ、DNA実験指針、これは文部省告示でございますが、に基づいた内規に反する事実として遺伝子改変マウスを十分な逃亡設備のない一般研究室へ持ち出したことがあったことはまことに遺憾であり、東京理科大学として実験動物の飼育管理や安全管理体制をさらに充実させ、安全性のより一層の確保に尽力する旨報告されました。なお、地域住民の不安感を招かないよう遺伝子改変動物関連施設と同様、研究用一般動物を扱う施設にも逃亡防止装置を設置するという報告がございました。質問ごとに質疑応答がなされましたが、周辺地区に対する実害がなく、理科大学からの報告について環境審議会では承認をされた状況にございます。

  以上でございます。

平成16年 9月 定例会(第4回)  09月14日-06号

◆大橋広志議員  (中略)第2の質問は、東京理科大における実験動物飼育管理等に関する調査報告書についてであります。この問題は、実験動物の飼育管理を委託されていたアニマルサポートという企業からの内部告発を受けて、私が野田市環境審議会の場で問題にしたことによって中央官庁を巻き込む問題になっております。さきの議会でも質問がありましたが、理科大は学内に調査委員会を設置し、告発された8項目について審査され、5月25日の環境審議会にて報告書が提出され、説明を受けたわけであります。

  私は、理科大のトップクラスの教育者が徹底調査されたものだから偽りはないだろうと思いました。この告発者にこの報告内容を持っていって説明すれば若干わかってもらえるかなという甘い考えで行ったのですが、とんでもない話で、アニマルサポートの職員の方々は毎日毎日実験動物にかかわってきた人です。

 その内容を申し上げますと、まず第1にこの調査に当たっている方々は、実験動物の施設に来た人はたった1人だそうです。その人は学長級ですから、年に1回か2回顔を出す程度ということで、実験動物の中身の実態についてはほとんど知らないということでした。また、内容を知っている人からの聞き取り調査も不十分だと。中には、業者のところへ電話がかかってきて、私のところに話あったけれども、申しわけないけれども、本当のことを言えば大変なことになってしまうので、申しわけないけれども、許してくれというようなことも電話がかかってきたということです。

 捏造されたと思われるものは、1項目のマラリアを投与する感染実験は禁じられているので、行っていないという報告でした。ところが、事実は実験計画を提出しているわけであります。こういうことを計画に、俎上にのせること自体がもう既に問題なわけでありますが、その後アニマルサポートの業者の方へ大変お世話になりましたという話があったそうですから、これは実験をやったということを暗に表明しているようなものでした。

 2つ目は、遺伝子組みかえ動物を一般区で一時的に飼育していたということは大学側も認めておりましたけれども、平成13年4月からは国の指針に基づき逃亡の防止施設で飼育していると、こういうように回答をしているわけです。ところが、アニマルサポートという業者の方々は、14年の3月まではそこで仕事をしていたわけです。大学側は、1年間間違った報告をしたのか、ずっと14年3月までその実態はあったと動かぬ証拠を持っていました。

 3つ目の遺伝子組みかえ動物を移転するとき、丈夫なビニールを二重にして運んでいるから適合しているという報告がありました。ところが、ビニール袋を見せてもらいましたら、これはスーパーでよく最後に巻き取りして魚とかトレーを入れるビニール、薄いやつですけれども、あれを2枚使ってやっていたそうです。ところが、理科大の使用規則というのがきちっと定められておりまして、実験終了後動物が死体となっている場合にビニール袋に入れて施設内のフリーザーに収納することとなっているのです。だから、死体になったマウスをビニール袋に入れるということは使用規則にありますが、生きたマウスを移送することはできないことになっています。それを報告書では、丈夫なビニールだから大丈夫だという報告をしているのです。

 4つ目の問題は、マウスは逃亡はしない、業者が見たマウスというのは野ネズミだったという報告でした。ところが、毎日飼育している業者が2回にわたって実際そのマウスを捕まえているわけです。だから、間違いないわけですが、もし理科大の報告のように野ネズミだったということであったらば、なおさら大変だと思うのです。野ネズミが実験室に入ったり出たりするということになれば、それこそ大変であって、周辺住民にどのような影響が出てくるか、これは保障はできないわけです。周辺環境への汚染が心配だと言われておりました。

 5つ目の報告内容は、遺伝子組みかえ動物の繁殖記録や系統図は、一部には記録漏れがあったけれども、基本的にはきちっとやっているという内容でした。理科大の使用規則には、1つのケージに5匹入れると、大きなケージには10匹と定められています。ところが、写真もありましたけれども、かなり多数のマウスがいっぱいになっていました。なぜ20匹、30匹を入れなくてはいけないかというと、ケージを1つ使うことによって使用者がお金を払うことになるからです。だから、うんと使えば使うほど実験する方がお金を払わなくてはならない、だからきちっとした5匹、10匹という定めに従わないというようなことがあったようです。中には、メスがマウスを身ごもった場合に、本来1つのケージから別のケージに移さなければ、今度子供が産まれるわけですから、それをきちっとした系統図、繁殖記録等をつくっていくのには、どの親からどの子供が産まれた、これをずっと記録しなければならないことになっています。それが全くされていないということでありました。

 その他にも多々問題がありましたが、この報告書を持参してアニマルサポートでは文部科学省に説明に行き、このような報告が野田市の環境保全協議会に提出されたということだけれども、信用できるかどうか、我々の言うことを、説明を聞いてほしいということで文部科学省へ行かれたわけです。教育の現場でこのような偽りの報告がされてよしとするならば、将来の生命科学の研究がとんでもない方向に行くことになって、これこそ未然に徹底調査し、理科大を立て直してほしい、こういうようなことで文部科学省に行かれたわけです。元理科大の理事長であるKさんは、もう現在引退されているわけですが、この人がこれらの内容を読んで手紙をよこしてくれました。その手紙のポイントは、こういう状況です。今の世の中は、もううそや偽りは通らない時代だ。理科大の対応は全く感心できない。その手紙をよこした理事長さんというのは、非常に理解のあった、当初アニマルサポートが初めて理科大にこの生命科学研究所を立ち上げるときに一緒に苦労した人ですけれども、それ以後の歴代理事長は全く生命科学研究に対して無理解者だということの手紙が届いておりました。野田の環境審議会でも、今は健康福祉センターですか。当時保健所長ですけれども、この方々から研究所には獣医師をきちっと1人配置しなければならないという指摘がされておりました。いまだに配置はされていないようでありますけれども、野田市としても今後このような経緯、また万一あの報告がうそだということであれば、双方を呼び寄せて参考に話を聞いてみるということもいいのではないかと。また、文部科学省や環境省に対しても徹底的な調査を要請するということをしていただけないかどうか、市長の見解をお聞かせいただきたいと思います。(中略)

◎環境部長(滝口巌) 東京理科大学の実験動物に関する問題につきましては、市環境審議会における質問に対しての報告を提出いただいたところでありますが、文部科学省にも同じ内容の質問が提出され、その後も実験動物の扱いに関する投書が文部科学省等に寄せられているようで、理科大学において引き続き調査が進められていると伺っておりますので、その動向を見きわめていきたいと考えております。文部科学省には、これらの調査が終了次第、文書による報告がなされるとのことから、市としても報告書の再提出を求めていきたいと考えております。

  以上でございます。