環境省の動物愛護部会・第26回(2010年7月15日)で、「動物愛護管理基本指針の点検(第3回)」が公表されました。その中に、実験動物に関するアンケートの結果が含まれています。内容は下記の通りです。(黒字は転載部分、青字は管理人のつぶやきです)

出典:
環境省中央環境審議会動物愛護部会 第26回
資料2 PDF動物愛護管理基本指針の点検(第3回)について 図表資料 [PDF 1,077KB]

▼環境省がまとめている内容

  • 平成22 年3 月に、国内の実験動物取扱施設に関する概要把握、実験動物取扱施設における「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」の遵守状況等、実験動物の適切な取扱について、アンケート調査を実施した(※)。
  • 実験動物取扱施設のうち、約95%が「動物実験の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」の内容を知っている。
  • 実験の為に購入・生産・飼養等した動物種は、マウス、ラット、ウサギ、モルモットといった小型哺乳類が多く、その次にイヌ、ハムスター、霊長類、と取扱い上位は哺乳類が占める。
  • 約94%の施設で基準内容に即した指針や要綱等を策定、約92%の施設で実験動物の殺処分に関する規定を策定しており、約99%の施設で指針等の遵守に関する指導を行う委員会等を設置している。

※実験動物に関するアンケート調査概要
◆対 象:実験施設を含む団体(約1,000 団体)
◆調査方法:郵送
◆有効回答:654 件
▲回答率、6~7割くらいでしょうか。多いような気もしますが、ただ、「きちんと自主規制できなければ法規制もありうる」という前回からの流れを考えれば、業界からの態度表明として、もっと高くてもいいのに…とも思います。動物実験を行っていないところにもかなり送られているようなので、「関係ないや」ということで出さなかったところも多かったのでしょうか?

グラフ1

グラフ2
▲動物実験を行っていないところの割合がとても高くなっています。化粧品業界に送ったからのようですね。化粧品業界で動物実験を持っているところがかなり少ないことがわかる、ある意味興味深いデータです。製薬・医療関係でも、半分くらいですし…。これでは動物実験施設に関するアンケートの母数としてはちょっと少ないのではないかとも思うのですが、逆に言うと、どこが動物実験を行っているのかというのは、非常に把握しずらいものであることがはっきりしたと思います。指針等の周知対象をはっきりさせるには、やはり登録制か、届出制しかありません。

グラフ3

グラフ4

▲だんたいこんなものなかあという気もしますが、「ほとんどの人が知らない」とした国立か公立の施設は、施設を使い始める前のガイダンスや研修などで内容を教えていないのでしょうか? ある意味正直な回答ですが…知らなすぎるのは問題だと思います。

グラフ5
▲まだ100%ではないというのは、やはり驚きです。特に、国立・公立研究所で1ヶ所? さらに、製薬・医療関係企業でも17社のうち3社が半年以内と答えています。驚きの数字です。実験関連業界の方々は、前回の動物愛護法改正の前から「ちゃんとやっている」と言い続けているのに、これはどうしたことでしょうか。動物実験をやっている施設はもっとたくさんありますので、やはり義務化しなければ、こうしたことは隅々までいきわたらないのではないでしょうか。

グラフ6

▲指針はあればいいというものでもなくて、内容が問題になると思いますが(どういう殺処分方法がとられているかについては特に?)、これに関しては、各分野で同じくらいの割合で作られていないところがあるようです。これもまた驚きです。

グラフ7

▲動物実験をしていると答えている化粧品会社8社のうち、1社に動物実験委員会がないというのも驚きです。化粧品関係が、もっとも世論の批判を浴びていると思うのですが。そういった業界ですら、委員会がなかったところがあるのですから、食品など、他の業界に広げたときにどうなるのか、とても不安です。

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