※ペットフード法の質疑で、実験動物用飼料についての話題が出てきます。また、獣医学教育における動物福祉の教育についても質疑されています。

 
第169回国会 衆議院予算委員会第六分科会 2号 平成20年02月28日

○馬渡分科員 自由民主党の馬渡龍治でございます。

 きょうは、動物の適正な愛護と管理について、一つは獣医学の教育について、もう一つはペットフードについて、最後に自給率について質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 実は、私たちの日本の国には、もう百年以上前に動物虐待防止会というものが設立されて、その趣旨の中に、動物の虐待は人類の品格を破るものなり、文明の体面を汚すものなり、国民の幸福を妨ぐるものなり、社会の美観を損するものなり、こういった言葉が入っています。まさにそのとおりだと思いますし、インドのマハトマ・ガンジーは、国の偉大さ、道徳的発展は、その国における動物の扱い方でわかる、こうおっしゃっております。

 その動物に最も関係をする獣医師の仕事というのは、家畜やペットなど動物の病気の診断、治療や、また食肉などの検査、検疫など公衆衛生の分野でも重要な業務に携わっています。自治体では、保健所や動物愛護センターなどで動物愛護法に係る業務の担当も獣医師であります。そして、私たちにとって、身近なかかりつけの獣医師は最も頼もしい存在でもあります。

 二〇〇五年に動物の愛護及び管理に関する法律が改正されて、動物愛護行政の業務が広がって、動物取扱業者の監視や指導、実験動物や産業動物の基準の周知徹底なども担うことになっています。人と動物とのさまざまな社会的かかわりに関して、社会が獣医師に求める役割と期待もまた大きくなってきています。このような社会的ニーズにこたえる獣医師を育成していくためには、何よりも獣医学教育を充実していく必要があろうかと思います。

 今、十八年には、二千四百五十五万頭の犬や猫が飼養されている。国民の三世帯のうち一世帯が犬や猫を飼育していることになるわけですけれども、動物の適正飼養や取り扱い、動物福祉に関する関心はますます高まってきていて、そのような社会のニーズにこたえていくために、獣医学教育で動物愛護や福祉に関する教育を進める必要があると考えられます。

 また、諸外国では、獣医学教育において動物福祉教育が積極的に取り組まれていることから、日本でも動物福祉を学びたいという学生がふえてきていると聞きます。しかしながら、国内において、動物福祉、獣医倫理、生命倫理といった科目や講座がある獣医学科を持つ大学が少ないのが現状です。

 そこで、今申し上げた動物福祉、獣医倫理、生命倫理に該当する科目や講座を持つ大学数や時間などを教えていただきたいと思います。また、今までどおりの教育方針でいいのか、または改善すべき点があるとしたらどのようなことがあるのか、文部科学省の見解を伺います。

    〔主査退席、杉浦主査代理着席〕

○土屋政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、獣医学教育におきまして、動物福祉については極めて重要な事項というふうに認識してございます。

 御指摘がございました我が国の獣医師養成課程における現状でございますが、現在、十六の大学において獣医師の養成を行っておるところでございます。この中で、動物福祉に関しましては十六大学中十三大学において講義が行われ、また、倫理に関しましては十六大学中九大学、あるいは動物愛護に関しましては十六大学中十一大学で教育が具体的に行われているという状況でございます。

 現状はこういう状況でございますが、各大学あるいは学会、獣医師会におかれましては、さらに動物福祉などの新しい科目を開設すること、あるいは現在の授業科目の見直しなどについての検討が行われているところでございます。

 文部科学省におきましては、学会あるいは各大学における検討状況も踏まえつつ、獣医学教育の一層の充実にこれからも努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

○馬渡分科員 動物を適正に飼養する、愛護するということは、お子さんたちの心の健やかな成長にも資するわけでありますし、現に、過去、動物を虐待した少年が凶悪犯罪に走ったという事例もありますから、こういった点をよく踏まえていただいて充実をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 次に、獣医師免許を所轄する農林水産省では、平成十九年九月に獣医事審議会試験部会のもとに獣医師国家試験に係る小委員会を設置し、この二月に獣医師国家試験の改善に関する報告書をまとめています。この改善案の中で、「社会で求められる獣医師としての資質や倫理観の確保にも寄与すべきものである」と述べていますが、動物の愛護、福祉を普及させることは、まさに今の社会が求めている獣医師の役割の一つと考えられますが、このことについて御見解をお聞かせいただきたいと思います。

○佐藤政府参考人 御説明申し上げます。

 獣医師法におきまして、獣医師は、その任務といたしまして、飼育動物に関する診療あるいは保健衛生の指導をつかさどることとされております。動物に関する保健衛生の向上及び畜産業の発展を図りまして、あわせて公衆衛生の向上に寄与することとされております。

 獣医師が診療や保健衛生の指導を適切に行うことは、動物愛護及び動物福祉に関する正しい情報の提供や、あるいは動物の健康維持に関する啓発普及にも寄与いたしますことから、獣医師は動物愛護及び動物福祉についても社会的役割を担っているものと考えているところでございます。

○馬渡分科員 次に、動物の健康と福祉を図ることは、人間社会をより豊かで安全にすることにつながっていると思います。獣医師に限らず、動物に係る人々の責務でもあろうかと思います。

 獣医師は動物福祉の取り組みにリーダーシップを発揮してもらいたいと思いますが、日本では、これに関して獣医学教育のおくれが議論されている段階です。国家試験の中に動物福祉や生命倫理の問題が出題されれば、当然教育の方もそれに向けて取り組みが進んでいくものと考えますが、ぜひ検討していただきたいのですが、ここのところの御見解はいかがなものでしょうか。

○佐藤政府参考人 御説明申し上げます。

 獣医師国家試験の関係でございますが、獣医師法の第二十条の規定に基づきまして、獣医師は、飼育動物に関する保健衛生の指導が義務づけられているところでございます。動物愛護思想の普及とか、あるいは獣医師を取り巻く社会的な情勢の変化を考えますと、獣医師には、高度かつ広範な知識、技術とともに、獣医師としての高い資質やあるいは倫理観も求められているところというふうに考えております。

 このため、委員御指摘のように、獣医師国家試験の改善に関する報告書案ということでまとめられておりまして、その中で、獣医師としての資質を問う観点から、獣医師として必要な倫理観等に関する問題を必須問題として出題することが提案されているところでございます。

 これらの提案を受けまして、獣医師国家試験において、動物の福祉あるいは生命倫理など、獣医師としての倫理、資質を問う問題の充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。

○馬渡分科員 ぜひよろしくお願いします。

 私たち一般人からすれば、獣医師の方というのは動物病院のお医者さんという見方が強いんですけれども、牛や豚、鶏などの家畜動物の健康も維持して、病気を診断、治療することも獣医師の大事な仕事であります。

 日本も加盟している世界動物保健機関では、家畜福祉の基本原則を示し、世界基準をつくろうとしているようですが、農林水産省として、この家畜福祉に関してどのような取り組みをしているのか、お聞かせいただきたいと思います。

○内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 家畜福祉、いわゆるアニマルウエルフェアと呼ばれているものでございますけれども、御案内のとおり、近年、国際的に関心が高まっております。まず、EUでは家畜飼養管理基準が、また、米国でも生産者団体によるガイドラインがそれぞれ策定され、さらには、国際獣疫事務局、OIEも基準の策定について検討を開始しております。

 我が国におきましても、十八年度に、家畜のアニマルウエルフェアのあり方につきまして基本的な方向性を報告書にまとめ、十九年度からは、これを踏まえまして、アニマルウエルフェアに対応した畜種別の基準の具体化を図るため、大学の研究者、生産者、消費者、動物愛護関係者など広範な分野の専門家から成ります検討会を設けまして、検討を開始したところでございます。

 農林水産省としましても、今後、国内の関係者への情報提供とあわせまして国内検討を進めまして、我が国の考え方が反映されますよう、OIEの基準策定の議論に積極的に参加してまいりたいと考えております。

○馬渡分科員 ありがとうございました。

 次に、ペットフードの安全確保についてお話を伺いたいと思います。

 平成十九年の三月、アメリカで、家庭で飼育されている犬や猫が四千頭以上死んだと聞いています。この原因が、中国から輸入したペットフードの原料を加工したカナダのペットフードメーカーがつくったペットフード、これによって、アメリカ全土で腎臓障害によって多くの犬や猫が死んだと聞いています。飼い主を信じて食べた犬や猫が病気にかかって死んでいった。これは、ペットフードを与えた飼い主にとっては大きな心の傷になろうかと思います。

 幸い、日本ではこの件に関しての事故はなかったと聞いておりますが、この間、ペットフードの安全確保についての中間取りまとめを見させていただきました。意外と早い対応をされたな、これは私の率直な感想です。

 三月にそういった事故が起きて、もう八月二十日にはペットフードの安全確保に関する研究会が立ち上げられて、同年の十一月三十日にこの中間取りまとめが出された。私も、動物の適正な愛護と管理を求めて、政治活動の一つとしておりますが、このことに対しては大きな評価をしたいと思っておりますが、そのことについてお聞きしたいと思います。

 十一月に取りまとめられたペットフードの安全確保に関する研究会の中間取りまとめでは、「ペットフードについて十分な安全を確保する上で、法規制を導入すべきである。」という提言がなされています。今までペットフードの安全性に関する法律がなかったこと自体が問題だったと思います。これは、メーカーの自主規制によってなされていたものだと聞いております。このような提言に対して今後どのように対応するつもりなんでしょうか。これをぜひ教えていただきたいと思います。

○櫻井政府参考人 先ほど来委員御指摘のとおり、国民のライフスタイルの変化によりまして、ペットがより身近な存在となっております。犬、猫の飼育数は推計で二千五百万匹にも上るということでございます。また、これに伴いまして、ペットフード産業の規模も拡大しておりまして、現在は約二千四百億円にも達しているというふうに考えております。

 こうした中、御指摘のように、昨年三月以降、米国で有害物質を含有するペットフードに起因いたします大規模な犬及び猫の死亡事故が発生いたしました。我が国でもこのペットフードの自主回収が行われたところでございます。

 このように、我が国でもペットフードの安全性を確保するということが求められているという状況を受けまして、研究会において取りまとめられた報告の趣旨を踏まえて、今国会にペットフードの安全性の確保に関する法律案を提出すべく、環境省及び農林水産省において検討しているところでございます。

○馬渡分科員 大臣、この法律がしっかりとできるように御活躍をお願いいたします。

 その中間取りまとめでは、規制の対象としては、当面、犬用及び猫用のペットフードとすることが適当であると考えられる、このようにあります。どのように対応していくんでしょうか。そして、例えばウサギとかハムスターなどもかなり多く飼われていると思いますが、こういったペットフードに関してはどうなんでしょうか。

 また、実験用の動物の飼料についても法的な規制の対象とすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。この見解をお聞かせください。

○櫻井政府参考人 御指摘のとおり、研究会の報告書では、犬及び猫のペットフードにつきまして、第一に、国内で流通しているペットフードの約九〇%が犬及び猫のペットフードであるということ、それから第二に、安全性の問題が顕在化をしておるということ、それから第三に、ペットフードの安全性に関します知見が相当程度蓄積をされているということから、当面は犬及び猫を対象とすべきというふうにされておるところでございます。法案の検討に当たりましても、これを尊重していくという考えでおります。

 犬及び猫以外のウサギなどの愛玩動物につきましては、今後、ペットフードの流通の状況、あるいは当該動物に関します安全性に関する知見の蓄積の状況等を見ながら、必要に応じまして対象の見直しを図るということが適当ではないかというふうに考えているところでございます。

 さらに、実験動物についてでございますけれども、実験動物についてもペットフードを食べているという場合も多いわけでございまして、これを規制すれば、実験動物に与えられる飼料についても安全性を確保することは可能でありまして、別途の実験動物のための規制というのは必要ないというふうに考えております。

 なお、実験動物という性格上、実験の目的に必要な限度で特殊な飼料を与えるということは、これは飼料の安全性の確保という観点とはまた別の問題であろうかと思っております。

○馬渡分科員 実験用の動物に関しても、ストレスを与えない、安全を確保するというのが動物福祉の一つだと思いますので、さらなる御検討をよろしくお願いいたします。

 次に、中間取りまとめでは、「法規制では安全確保の観点から重要な情報が表示されるようにすることが必要である。」としています。ペットフードは、人間の食用には適さない、例えば家畜の内臓などが原料に使用されているとのことです。使用してはいけないということではありませんが、その場合、表示はきちんとすべきではないかと思います。また、ペットフードには防腐剤や酸化防止剤などが使用されていると考えられますが、このような添加物についても成分の表示をするようにすべきではないかと思いますが、どのように今後対応していくおつもりか、お聞かせいただきたいと思います。

○佐藤政府参考人 御説明申し上げます。

 委員御指摘のとおり、中間取りまとめでは、「法規制では安全確保の観点から重要な情報が表示されるようにすることが必要である。」とされております。このような中間取りまとめの指摘を踏まえつつ、現在、他法令との整合性等も考慮いたしまして、規制の仕組みを検討しているところでございます。

 表示の内容等につきましては、今後審議会等の場で専門家の御意見をよく伺いまして、ペットフードの安全性を確保するよう、適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

○馬渡分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 続いて、最後に大臣にお聞きしたいことがあるんですけれども、自給率について、先ほどちょっと話が出ましたけれども。

 我が国では、国内で自給可能な米の消費量が大幅に減少する一方、多くを輸入に依存している穀物や大豆などの消費が大幅に増加したことなどにより、食料自給率が大きく低下し、先進国の中で最低水準になっています。

 このような中で、特に小麦、トウモロコシ、大豆、その国際価格は、一つは中国やインドなどの人口超大国の経済発展による食料需要の増大、そして世界的なバイオ燃料の原料としての穀物等の需要の増大、そして地球規模の気象変動、この影響によって農業生産への、とれるとれないというものがあろうかと思います。そんな中で、中期的に継続する要因を背景とする穀物全体の需要増や在庫率の低下などにより、価格はどんどん上がってきて、今も高水準であります。

 特に小麦の価格については、輸入先であるオーストラリアの二年連続の大干ばつによって大幅に上昇して、今後も安定する見込みはありません。年間でおよそ五百万トン輸入している小麦の国内生産量は、平成十七年で八十六万トン、国内消費量の一四%程度しかありません。国内で小麦をこれ以上増産しようとしても、生産能力には限界があろうかと思います。また、国産小麦の評価として、一部に高い評価を得ている国産小麦もありますが、多くは外国産に比べて品質の劣るものもあります。

 一方、我が国では、主食用米の消費が大幅に減少している中で、米の生産調整が行われています。この生産調整を行う水田を麦、大豆などの生産のために活用することはもちろん重要でありますが、我が国の気候風土に適しているのは米の生産であって、それは我が国の歴史、文化、伝統に根差したものでもあろうかと思います。

 そこで、こういった課題を解決して国民に対して食料の安定供給を果たしていくための方策の一つとして、原料の大部分を海外に依存している小麦粉から、国内でできる米粉の利用を図ることが重要じゃないかと考えます。

 実は、平成三年ごろから米粉一〇〇%のパンというのが開発されて、今普及に向けていろいろやっているようですけれども、十年たってもなかなか一般的に普及していかない。その理由として、値段のこともあるんだと思いますけれども、実は今、米一〇〇%の粉でうどんとかパスタとかラーメンなんかもつくれるんです。そのパンも、かなり品質も向上してきて、本当に小麦でつくったパンとそう変わらないようなものもあります。現に、大臣の農林水産省の食堂では米粉によるうどんも販売されていて、結構好調だと聞いております。過去に米粉が普及しなかった理由は、さっき言いましたように、小麦と米粉の価格の差、そしてその品質のこともあろうかと思いますけれども、ここ最近では随分技術革新もされてきて、いいものができています。

 そこで質問なんですが、現在まだ米粉と小麦粉の価格差はありますが、食料安全保障の観点からも、古米や古々米などを安い価格で粉への加工に回すとか、新米であっても余剰米と判断されるものは低価格で加工用に売却するなどの大胆な決断をしていただいて、小麦にかわっての、粉にした米の消費拡大を図るべきだと考えていますけれども、大臣におかれてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。

○若林国務大臣 委員が御指摘になり、そしてまた御提案になりました、米粉によるパンを初めとした需要というのを拡大していかなきゃいけない、なお拡大の余地はあるということについては、私もそのように考えております。

 食生活の変化によりまして、御承知のように、主食用の米の消費は残念ながら減少を続けております。そういう中で、日本の風土に最も適しているのは水田における米作であることは間違いないわけでございますので、やはり、水田の機能を維持しながら自給率の向上を図っていくためには、米自身の低コスト生産をさらに進めていくということをしながら、パンとかめんなどの原料としての米粉利用の促進に取り組んでいくことは本当に重要な課題だと思います。

 特に、委員が御指摘のように、近年におきます小麦の国際需給の逼迫、さらに、国際相場も高騰している中で、輸出国側が輸出規制に入っていく、そういう兆候がございますし、また、地球温暖化に伴う異常気象というような要素も入ってきておるわけでありますから、米粉利用の必要性はさらに高まってきていると思います。

 委員も言われていましたように、これまで、米粉は小麦粉と比べて割高である、こういうことは間違いございませんけれども、やはり小麦粉を使った商品に比べて米粉のパンは水分含有率が高いというようなことで、どうしてもかたくなりがちだということから、需要の拡大にそれがネックになっていたということが言えると思いますが、さらなる技術の開発努力を続けながら米粉の需要を拡大し、その定着を図っていく。

 そのためには、生産地、生産者と、製粉メーカー、また製パン、製めん業者の二次加工メーカーがお互いに連携を強めまして、原料の米を低コストで安定的に供給できるような生産、流通体制を整備すること、そして、その特徴であるもちもちした食感、しっとりとした食べやすさみたいなものをむしろ一つの商品の特性として、これを踏まえた新しい商品開発というようなことも努力し、販路の確立を図っていくことが重要だというふうに認識いたしております。

 農林省の下の食堂では米粉パンも売っておりますが、まだ少量であるために、今、展示するとすぐ売り切れてしまうというような状況でございます。ようやくそういう認識も広がり、その需要も高まっているということでございますので、この機会に集中的に重点を置いて、米粉のパンを初めとした需要の拡大に努めてまいりたい、このように考えております。

○馬渡分科員
 力強い御答弁をいただきました。大臣のお力で日本の国の自給率をさらにアップしていただけますように、お願いいたします。
 最後の質問、時間もなくなりましたので、速く読みます。

 次に、近年、全国の中山間地では、農村部の過疎化に伴い、稲を植えることなく放置されている耕作放棄農地、いわゆる荒れた田んぼが急増してきています。山の保水能力や環境保全の観点からも、このように眠っている中山間地の田を活用する政策を図るべきだと考えます。環境政策の一環としても、中山間地域の田畑での生産を行うための補助や農地の有効利用のための新しい制度をつくるべきと考えますし、環境に配慮した農法の積極的支援や生物多様性に配慮した政策を進めるべきと考えますが、農水省の考えはいかがでしょうか。

○中條政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、中山間地域は、我が国農業の中で重要な位置を占めますとともに、国土の保全、水資源の涵養など多様な役割を果たしているところと承知をしております。しかしながら、同時に、傾斜地が多くて農業生産条件が不利な状況にございまして、過疎化、高齢化が進行するとともに、担い手が不足いたしまして、耕作放棄地の増加、多面的機能の低下が特に懸念されているところでもございます。

 これらの課題を踏まえまして、農水省としましては、地域の実情に即しました農業生産基盤の整備、それから、中山間地域の条件不利を補正しますための直接支払い、さらには、平成十九年度からでございますけれども、農地、水、環境を保全します地域共同活動への支援、こういった施策を行っておりまして、中山間の農林水産業の振興だけではなくて、多面的機能の確保、農地の有効利用に向けた施策を総合的に行っているところでございます。

 さらには、営農面でも、病害虫に強い品種の育成、それから天敵の利用、こういった環境保全型の農業の開発普及等、基盤だけではなくて営農面での指導も行っているところでございます。
 また、平成十九年度から、農山漁村活性化法に基づきまして、農業だけではなくて居住者、滞在者の増加によります農山漁村の活性化といった面でも支援をしておりまして、まずはこれらの施策を着実に実施させていただきまして、十分な成果を出すことを目指す、あわせまして、現地の生の声を十分にお聞きしながら今後の中山間地域の総合的な振興に努めてまいりたい、このように考えております。

○馬渡分科員 これで質問を終わります。ありがとうございました。

○杉浦主査代理 これにて馬渡龍治君の質疑は終了いたしました。

(以下略)

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