~バイオサーチ社の動物実験~

People for the Ethical Treatment of Animals (PETA), 1988

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化粧品などの動物実験の実態を暴いた有名な動画です。1988年のものなので、現在では変わっている部分もありますが(例えば完成品の動物実験が行われている点など)、毒性試験そのものの本質は変わらないと思いますので、知人の翻訳でご紹介します。

訳:Naoko Takata

<以下、日本語訳>

ここはアメリカ、フィラデルフィアにある動物実験施設、「バイオサーチ」です。PETA(動物の倫理的扱いを求める市民連合)の秘密捜査官として、私はここで研究所員の職を得ました。バイオサーチでは、レブロン、P&Gといった化粧品、トイレタリー製品のトップ企業のための実験を請け負っています。ここでの勤務中私は、不十分な医療処置、痛みの軽減を怠った実験、度重なる虐待など、100以上の州法および連邦法違反を記録しました。

実験の対象となる製品は、殺虫剤、ノミ取りスプレー、玩具、シャンプー、化粧品などと共に、家庭用および業務用洗剤も含まれます。動物たちはこれらの薬剤を注射され、目に入れられ、皮膚に塗られ、また強制的に食べさせられます。それらの実験が動物に重度の障害を起こした場合、分量を減らして再度同じ実験が行われます。企業が、訴訟の際に安全な容量をきちんと確認したと言うためです。

(字幕)
「各企業が製品の安全性試験をどのように行うかはその企業次第である。それらはしばしば訴訟対策に過ぎない。」- 米国食品医薬品局スタッフ

Draize Tests
ドレーズテスト

ここに紹介する4頭のウサギは悪名高きドレーズテストに用いられました。1944年に考案されたこの原始的なテストは、薬剤をウサギの目に垂らし、そのままの状態で3日から21日の間観察するというものです。ベネトンの男性用コロンを注がれたこのウサギの目は、ほとんど眼球が見えないほどにまでただれています。

この実験および続く3つの実験は法的義務によるものではありません。このウサギの目には、レブロンの口紅のかけらが入れられました。顔中についた口紅は、それを取り除こうとウサギがもがいたことを物語っています。

これは殺虫剤を用いたものです。バイオサーチでは、ドレーズテストを行う際、麻酔などは一切施されません。このウサギの目には腐食性のある浄化槽用洗剤が注がれ、極度のただれと膿が起こっています。研究者はそれを記録した後、このウサギを別の実験に使います。

(字幕)
「ウサギの目は人間の目とは異なるため、ドレーズテストのデータは眼科医である私には全く無意味である。」- ニューヨーク大学メディカルセンター、医師

Skin Tests
皮膚刺激性テスト

これらのモルモットは腐食性の薬品を直接皮膚に塗布するため、毛を剃られています。皮膚は腐食し、炎症を起こしています。この映像は、5回目の塗布が終わった、実験の10日目に撮影されました。実験が終了するとかれらは毒ガスで殺され、処分されます。

この実験では、薬品の溶剤が皮下注射されました。48時間後、患部を覆っていた医療用テープが剥がされましたが、右奥に映っている一匹は見過ごされ、合計一週間テープが貼られたままでした。皮膚へのダメージが悪化したのは言うまでもありません。

化学薬品会社のペトロライトに委託されたこの実験では、腐食性のある液体がウサギの体に注がれ、皮膚に穴が開いています。

これは急性皮膚刺激性試験と呼ばれるものです。0から4の5段階評価のうち、このケースでは4E4と判断されましたが、それは何層もの皮膚を破壊したことを意味します。薬剤が皮膚に注がれたとき、このウサギが悲鳴を上げたのを私は聞いています。

このウサギの後ろ足は、毛を剃った背中に液体殺虫剤が注がれた直後に麻痺してしまいました。人間の皮膚を通して体に入ると、神経障害を起こすような殺虫剤がすでに市場で売られています。

S.C.ジョンソン社の家庭用洗剤を24時間皮膚に塗布されていたこのウサギの背中には完全に穴が開いてしまいました。症状があまりにもひどかったため、この一連の実験に使用された動物は実験終了後すべて殺処分されました。

この製品には長年使用されているシュウ酸と呼ばれる成分が含まれており、その腐食性はすでに知られているものです。

メノン社の依頼によって行われたこの実験では、同社のデオドラントが実験対象でしたが、皮膚へのダメージがあまりにも重度であったため、21日間の予定であった実験が6日目で中止となりました。

また実験動物には、飲食を妨げる形でエリザベス・カラーが装着されていたことと、ストレスから、体重の減少が見られました。

ここに映っているヘアレス・マウスたちはロレアル社による紫外線の有害性の実験に使用されようとしています。実験対象成分となる同社のコロンと化粧品がそれぞれ、かれらの体に塗布されているところです。
マウスの頭部にマスキング・テープが貼られ、垂直の板にうつ伏せに貼り付けられます。

その板は強力な太陽光シミュレーターの前に設置され、数時間放置されます。初回の実験では、マウスのうち半数が焼け死ぬ結果となりました。

Lethal Dose Tests
致死量テスト(LD50)

(字幕)
「実験に用いられる分量は尋常ではない。人間がそれと同量を吸引することはまずないだろう。」
– バイオサーチ毒物学研究者

このガス室の中には小さな檻が複数設置されています。ラットをその中に閉じこめ、蓋を閉めたガス室の中には有毒ガスが送り込まれます。殺虫剤を4時間も吸引させられたラットは大抵、窒息死してしまいます。ガス室の蓋が開けられた時、すべてのラットが死んでいることも珍しくありません。

(字幕)
「動物実験は決して、有害な物質や薬品が市場に出回ることを防ぐ役割を果たしていない。よってドレーズ・テストやLD50テストは無意味である。」- 小児科医

これは1927年以降行われているLD50テストです。LD50とは半数の実験動物が死ぬ分量を意味しています。ここにいる死亡したまたは死に掛けのラットは、午前10時に殺虫剤を投与されました。生き残ったラットは、研究所員が帰宅した午後5時以降も痙攣を続け、この映像が撮影された深夜12時には14時間にもおよんで苦しんでいました。肛門からの出血を起こしているラットも見受けられます。すべてのラットが死亡した場合、半数しか死ななくなるまで分量を減らして同じ実験が続けられます。

Callous Attitudes
無情な態度

(字幕)
「ここに数日もいれば、生き物に対する尊敬などなくなってしまう。動物虐待は日常茶飯事だ。」
– バイオサーチ・スタッフ

このビーグル犬の子犬は「死刑宣告」というあだ名をつけられました。バイオサーチ研究所到着後6日目に静脈へのブドウ糖注射の実験に使用され、殺処分されました。
この犬の里親になる申し出は却下され、ここには解剖台の上で今まさに殺されようとしている様子が映っています。

このウサギは皮膚毒性試験に使用されました。実験対象物質の殺虫剤がウサギの背中に注がれましたが、体に巻かれていたテープの下に薬剤が流れ込み、ひどいただれとかさぶたができました。ウサギはその後何も手当てを受けませんでした。

法律では、実験動物に不要な苦しみを与えないよう定義されていますが、ここに映っているウサギは、細菌に感染しているにもかかわらず、放置されていました。感染で神経を侵され、通常の姿勢が保てなくなっており、食べたり飲んだりすることも不可能です。まだ何の実験にも使用されていませんが、何らかの手当てがされる様子もありません。

実験動物には数日間水も与えられないこともよくありました。動物達の体重が減少しはじめて、やっと自動給水機の故障に気づくという有様です。このウサギは2日間ではじめての水にありついています。

Companies vs. Consumers
企業 対 消費者

(字幕)
「動物実験は安全性のためではなく、訴訟のがれのためだ」- バイオサーチ・スタッフ

死んだネズミが入っていた食用油を使用して、具合が悪くなったという消費者からのクレームの信憑性を確かめるため、バイオサーチでは油のボトルにネズミを入れて溺れさせる実験を行いました。

1985年に撮影されたこの映像には、のみ取りスプレーの液体に全身を浸された子猫が、痙攣を起こしている様が映っています。この薬品はその後製品化され、それを使用した46匹の飼い犬・猫が死亡しています。消費者からの苦情が相次いだため、その後製造中止となりました。

(スタッフの声)「830、メス、グループ2、4回目の投与から約2時間、アトロピンの投与から1時間…」
(注:アトロピンは、有機リン剤中毒の解毒に利用される化学物質)

ロレアル社のホーム・パーマ液を使用した消費者から、目に入って障害が生じたとの苦情があったとき、バイオサーチでは、こじ開けたウサギの目を水道水の下にあてがい2時間も水を流し続ける実験を行いました。消費者からの苦情に対処するため、企業は、たまたまましな結果の得られた同一製品の過去の実験データを引き合いに出すこともあります。

Cutting Open Live Animals
生体解剖

(字幕)
「出血は、死亡後数秒もすれば止まるものだ」- フィラデルフィア市医療検査官

この2匹のウサギは、耳の中にローションを塗る実験を数週間にわたって行われました。その後、殺され、耳を切り取られましたが、大量の血液が付着していることから、耳が切り取られたときかれらはまだ生きていたことがわかります。研究所員はしばしば、まだ心臓の動いている動物を解剖していました。

また私の勤務中、このウサギを含め、数十匹の実験動物が、ケージの中で死亡しているのが確認されています。

1988年7月、私はバイオサーチを退職し、裁判所、政府機関、そして社会に対してこれらの情報を公開しました。

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