渋谷シネマライズでやっている『ダーウィンの悪夢』を観てきました。
http://www.darwin-movie.jp/(※リンク切れ)

なんだかもう……気が滅入ること間違いなしの、救いようもない、、でも現実の話。暗くなってしまいました。でも多くの人に観てほしい映画であることは間違いありません。

この映画を「観たいな」と思ったのは、日本でも食べられている白身魚、ナイルパーチがアフリカ・ビクトリア湖に放されて、そして生態系を破壊して云々という話を聞いたから。そして、そのナイルパーチの輸出がビクトリア湖周辺の社会に格差をもたらし、貧困を生み出した……という話=(イコール)私たちの生活を変えることで世界は変えられる、という話だと思っていたから。

でも、観たら違いましたね。あの話の切り口は、要するにナイルパーチでなくてもいいんだと思いました。たぶん、ビクトリア湖でナイルパーチが仮にとれなくなっても、資本家はまた別の搾取事業をするだけなんだと思います。

そして、アフリカに武器を運ぶ飛行機が、帰りはアフリカから収奪したものを運んでいく。ナイルパーチだけじゃなくていろいろなものを……。そして社会の構造は変えられない……

グローバリゼーションとか、搾取とか、南北問題とか、一言で言ってしまえばそうだけど、その大きな「犯罪」の前に、市井の人にできることはない。

そういうメッセージを発しているように思ってしまいました。

よく、豊かな国が貧しい国から食品を輸入していることについて、「お金を払ってやってるんだからいいじゃないか(儲けさせてやってる)」と言う人がいるけれど、実際にはその国では、現地の人々が買うことができないくらいそのものの値段が上がってしまって食べられなくなるし、儲かるのは末端で働いている人たちじゃない。そしてお金が集まれば彼らの国は武器を買う。

それがおかしいって、みんなこういう映像を見せられればわかるのに、実際には事態はどんどん悪くなっていっているように思える……。

戦争があったほうが、兵士という仕事があるからいいと、一般の人が考えているのは衝撃的でした。

魚の梱包財のプラスチックを溶かしてドラッグ代わりに使っている子どもたちも……。

毎日残飯が大量に出る国に住んでいてできることってなんなんだろうと思うとウツになります。なにかできることを提示してほしかったかも(T_T) 

といっても、私たちの生活を変えれば事態が変わるという問題ではないんですよね。フランスではナイルパーチを食べるのを止めようという方向に世論が行ってしまったので、監督は非常に残念がっているそうです。うーん、この映画をきちんと見れば、私たちの食生活がどうのこうのという問題じゃないってわかると思うんだけど……。日本は武器輸出は直接にはしていないと思うから、さらにできることが想像もつかない。

しかし関係ないけど……

公式サイトコピーの「1匹の魚から始まる」「放たれた1匹の魚」というのはちょっと間違いでは……?

だって、いくらなんでもオスとメスがいなければ、魚だって殖えやしないもの。1匹じゃ殖えないよ。映画の中では「バケツ1杯の」魚が放されたと字幕がついていたと思います。