なんだか最近、昔と比べて、日本人全体にゲテモノ忌避度が下がってるんじゃないかと思うんです。テレビとかがおもしろがって取り上げているせいもあると思うけど、なんとなーく自分の文化では食べないものを食べることへの抵抗感が下がっているんじゃないかと。それって裏を返せば、自分たちの文化が壊れてきていることの証なんじゃないかと思ったりするわけです。

昔、NHKで「未来への遺産」というシリーズをやっていて、その番組スタッフが書いた本の中に書かれていたことが印象深くて忘れられません。

中近東かどこかの国を取材したときに、なんと鳩の肉を出され、どうしても気持ちが悪くて食べられず、悪いとは思ったけれど「私たちの国の宗教では鳩を食べてはいないことになっている」とウソを言って断わったというエピソードなんです。

子どものころ、それを読んで、「わー、そりゃもっともだ、鳩なんて食べられないよ! その断わり文句は頭いいな、この人たち!」と思ったのを思い出します。

でも今だったらどうなんでしょう? そこで食べないのは悪いことのような言われ方をするんじゃないか、いまの番組クルーだったら抵抗なく食べるんじゃないか…などなどと思ってしまうんです。グローバル化のせいなのかなんなのかわかりませんけど、なんだかなんでもかんでも食べてて……抵抗感ってやつはどこへ行っちゃったんでしょう……

何でも食べて見せるのがジャーナリズム精神、みたいなのもちょっと倒錯していると思うのですが。