経営破たんした林原がつくった類人猿研究センターのチンパンジーたち、今後の身の寄せ場が決まったそうです。
何のことはない、また熊本に戻るのですね。報道にもリリースにも書かれていませんが、林原の8人のチンパンジーのうち4人は、もともと熊本の三和化学出身です。企業の道楽でわざわざ岡山まで移されて、それでまた企業の都合で熊本に戻されるんですね。いまは三和化学の医学研究施設ではなく、サンクチュアリになっていますが。
日本でほかに行き場所があるとも思えないし、おそらくベストな結末なんでしょうけど、チンパンジーを移動して環境に慣れさせるのは大変なはず。そのことを考えると、不正経理で見せかけだけの虚栄をはっていた林原は、やっぱり罪深いと思いますね。
(子供の頃、親の都合で引越しや転校が多かった私は、チンパンジーたちに心から同情するぞ!)
偶然、手元に2002年10月の「報道特集」の録画を持っていて、4人のチンパンジーたちを林原の今の施設に移す時の映像を改めて見たのですが、一時的に民家の裏庭の施設に入れられていたりして、ここが今見るととっても狭くてみすぼらしい。
移動の様子も、車で10分先に移すだけなのに大変そうです。麻酔打つのに、あせって自分の手に針刺ししてるし…(!)。チンパンジーたちは、強引にしたことは覚えていて、その後は信頼関係も壊れるとか、パニックになったら、何カ月も実験がとまるかもしれないとか、そういう懸念ももたれていました。
感染実験じゃないから動物福祉上問題がないってわけじゃなくて、行動実験だって、宣伝されているほどすばらしいものではないって、やっぱり思いますね。
株式会社林原からの寄附による京都大学霊長類研究所「チンパンジー(林原)研究部門」の発足、ならびに林原類人猿研究センターから京都大学へのチンパンジーの移動と、新部門による今後の研究教育の展望について(京都大学霊長類研究所と共同記者会見)