少なくとも172本の論文でデータを捏造していたことが発覚し、その不正論文数で世界記録
を達成したとも言われている藤井善隆元東邦大准教授の事件について、日本麻酔科学会のウェ
ブサイトに報告書が掲載されています。
藤井善隆氏論文調査特別委員会 調査結果報告
http://www.anesth.or.jp/news2012/20120629.html
じっくり見ていなかったのですが、犬の論文も相当数あるのですね(@@! 報道だけだと、臨床研究がほとんどなのかと思ってしまいます。これだけの調査をするのは、相当な労力だと思うので、ほんと、大迷惑ですね……、この事件。
著者(筆頭・共著)となっている原著論文212 編の内容別分類とその数

動物実験 犬:        59 編(筆頭:49 共著:10)
       モルモット:    1 編(筆頭: 0 共著:1)
臨床研究 術後悪心嘔吐: 109 編(筆頭:101 共著:8)
       プロポフォール血管痛:  15 編(筆頭:14 共著:1)
       その他   28 編(筆頭:17 共著:11)
実際に研究が実施されたのは初期の論文だけだそうなので、犬の犠牲も架空のものが多かったようですが……。でも実際に犬の持ち出し記録もあるし、当初は、結構な頭数を使っていた可能性がありますよ、この人。当時の研究を「捏造と断定する根拠はない」と言われても、疑いはついてまわるのではないかとも思いますし、だとしたら、実際に使われた犬たちは一体何のために犠牲を払ったのか? と思ってしまいます。
ちなみに、報告書の動物実験についての部分は以下のとおり。
210番の論文だけはっきりしているようですが、まったく犬を使ってないのに犬の論文が出ているなんて、誰かが気がついたりしないものなのか、不思議です。犬を使っている人なんて、一大学に、そんなに人数いないと思うのですが……。210番の研究は、動物実験計画書の審査は受けていたんでしょうかね~。東京医科歯科大学も筑波大学も、この件については何も言及していないですね、ウェブサイトを見る限り。
あと、モルモットはシカトでしょうか?! 立場弱いです[もうやだ~(悲しい顔)] (共著だからかなあ……)
2)動物実験について

(1)犬の実験実行可能性について(資料9)

犬の実験は,東京医科歯科大学,筑波大学で実施している.
東京医科歯科大学では,論文上の犬の総数 350 頭であったが,犬の使用記録等が一切残
っておらず,実際の使用数を示す記録はない.面接調査により,大学院時代の 2 年間週 1
日研究日があり,実験は大学院時代 2 年間,取手協同病院時代 4 年間実験をおこなってい
た.論文上の犬の頭数350 頭 使用可能頭数週1 回として最大312 頭となり,東京医科歯
科大学で行われた実験において,捏造と断定する根拠はない.
筑波大学については,資料10 にあるように,筑波大学動物実験センター実験用犬搬入出
記録及び,動物実験センター犬持ち出し記録の頭数を照合した.記録が残っていない,1997,
1998,2000,2001 年については,実験可能日から算出した推定最大値を用いた.勤務を開
始したのは,1997 年であり,1998 年の論文上の犬の頭数が使用頭数の範囲内に収まるが,
1999 年からは,論文上の犬の頭数が使用頭数を上回り,年を追う毎にこの差は大きくなり,
全体では,論文上犬の総数が913 頭,使用総数は163 頭と大きく食い違い,捏造があるの
は明らかである.

(2)実験期間明記論文について

No.210 の論文は,筑波大学において2008 年7 月から12 月の6 ヶ月間に21 頭の犬を用
いて実験をしたことが明記されている.実際には,この間に著者が筑波大学で実験をした
事実はなく,また犬を使用した事実もない.すなわち完全な捏造である.
資料9
fujii.jpg
fujii1.jpg
「20006年」はご愛嬌ですね^^;
「高橋氏」はこの人だけど、この人が持ち出したイヌだって、ほかの論文のためかもしれないし、わからないですよねえ……? (ていうか、イヌの持ち出しって、センターの外へ持ち出すって意味なのかしらん……)