10月25日に文部科学省が開催した「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針等に関する説明会」、特に参加者を限定するような記載はなかったので、申し込んで行って来ました。ツイッターで少しつぶやきましたが、ブログにアップしていなかったので、改めて。パブリックコメントも始まっていますしね…。
まずちょうど開始時間に会場に入ってびっくりしたのは、満席だったことです。かなりの人数、びっちり会場の席が埋まっていて、驚きました。申し込んだ人数、ぴったり来ていた感じではないでしょうか。文科省のアンケート結果が公表された後のことですから、指針が守られていなかった大学に対して体制が整うまで動物実験を行わないようすでに確認がされた後での開催でもあり、やはり少し真剣味が違うのか?という印象もありました。
内容は、まず文科省ライフサイエンス課から動物実験指針についての説明がざっとあり、環境省の小委員会で報告さた例のアンケート結果の概要の説明もありました。1割程度の施設で指針の重要な3項目(機関内規定の策定、動物実験委員会の設置、動物実験計画の承認/却下の実施)が未実施だったわけで、この説明会の資料には、10月末までに対応を行うよう、はっきり「文部科学省より指導」という表現で書かれています。
同じく、実験の実施結果の報告や、教育訓練、自己点検・評価、情報公開についても、12月までに実施するよう文科省から「指導」という言葉が使われています。情報公開については、「ぜひとも対応していただければ」との説明がありました。
もちろん最後には、環境省で動物愛護法改正の検討が進んでいる話が出ました。そういう動きだからというわけではないが、改正の議論では実験動物も対象となっていて、最終的に許可制や登録制の話もあると説明され、文科省は、大学と一体となって、きちんとやっていることを示していきたいと言っていました。
「大学と一体となって」
です。そう言ってました。(環境省が「動物業者と一体となって」と言ったり、厚労省が「製薬会社と一体となって」なんて言ったら、なかなか問題発言だと思いますが、なぜか文科省はそういう意識はないようです)
そして次は、筑波大・八神さんから国動協として基本指針への具体的対応についての話がありました。機関内規定の話から情報公開するべき項目まで、ざっと説明があり、資料には計画書の雛形などがついていました。(今ごろ配らなければならない状況って何なんだろう…と思わなくもなかったですが……)
指針の「実験動物の選択」の説明のところでは、動物の種類プラス、何匹かということだと言っていましたよ。計画書で、種の選択の根拠を書かせている大学は、ごくわずかしかないんですけどね…。これは目的はリダクションです。
そして最後の説明は、公私動協から、「こんなことやってます」の説明がありました。相互検証と自己点検・評価のフォーマットについての説明です。
このフォーマットは……いや~ まさかフォーマットを作るとは思わなかったですよね、自己点検。各大学が公開しているものを見ましたが、まじめに書き込んでる大学と、「適切にやっている」と一言言っておけばそれでいいという雰囲気の大学と、両方ありますね。全体的に、なかなか簡単に自己点検できるようになってると思いますが。(指針自体が簡単なので仕方ないかとも思いますが)
最後には質疑応答の時間がありましたが、質問している大学名を聞いても、こう言っては悪いのですが、あまり名前を聞いたことがない大学の方が多かったです。おそらくですが、文科省が行ったアンケートに対して、「予定」(未実施)と答えていた大学が主な対象になっているのかな、と感じました。
そして、正直「今ごろこんな質問してるってどういうこと?」という質問も結構あったと思います。動物実験委員会も、設置したところも、結局指針にあっているのかどうかはあまり考えていなかったのかな?と思われる大学もいくつかありました。筑波技術大のように、「今年度委員会を作ってはじめたばかりなのだが、12月末までに情報公開しないとだめか?」といった、なかなか切実な質問もありました。(今年ですか)
あとは、実験を実施する人が一人しかいないんだろうな、と思われる大学もありましたね…教育訓練を行う本人しか実験してないぞ、みたいな。
それから、情報公開を年報で行う場合、どこに配布したかではなく、見たい人が見られるかどうかが大事だとのことでした。配っていたとしても、「見せられません」ではダメってことです。
一番最後の文科省からのコメントを聞くと、やはりアンケート調査結果に対する対応について、「ここまでするか」という意見もあったみたいですね。でも、動物実験施設は、今は動物取扱業の規制を逃れていて、罰則などの強制力のあるものの対象になっていないが、それでは甘いという意見もいっぱい来ていて、届出制も議論されているのだから、それを考えたときにこれを厳しいと思うかどうかですよ~という説明もありました。
もちろん文科省の態度としては、規制がなくてもきちんとできていることを示す必要があって実態把握が必要だったという立場ですが、これをもとに見直しをしていきたいという話もあったので、アリバイ作り以外の何かもちょっとは検討されているということでしょうか。
でも何というか、こう、パックアップしますから困ったことがあればなんでも相談してくれ的な雰囲気は感じましたよね。法改正を阻む意味で。
この説明会については、地球生物会議ALIVEのサイトにも掲載されています。
文部科学省が、動物実験指針の説明会開催
http://www.alive-net.net/law/kaisei2012/monkasyo_setsumei.htm