パブコメをやっている最中ですが、ちょっとほかの話題も。先月、REACHについての下記のセミナーも少し聞いてきたんです。
2010年REACH登録の教訓と2013/2018年登録に向けた効果的な対策に関するセミナー (2011年10月26日)
http://www.chemical-net.info/seminar.html#sem3
全部は聞かなかったので、詳しくはアップされている資料をご参照いただきたいのですが、ひとつ気になることを言っていました。
来年(2012年)6月、REACHと、EUのほかの法令とのオーバーラップについて報告書が出るのだそうです。化粧品の動物実験を禁止している化粧品指令だけではなく、RoHS指令など、REACHはほかの規制とも整合性の問題があるらしく、報告次第では立法案が提出されることもあるようです。(つまり改正も?)
そのときには、厳しくなるものあれば、ゆるくなるものもあるだろうとのこと。どうも変わる可能性があるような話なんですね…。
REACHは、40もの法令にとってかわるものとしてつくられたので、やはりすべてを検討して作り上げることはできなかったのだそうです。なるべく追加の作業が出ないようにするというような話をしていましたが、化粧品の動物実験禁止についても、この大原則のほうが優先されるような改正としてほしいと思います。
実は、以前のJaCVAMのセミナーの質疑応答でも、
会場「動物実験が禁止された2009年以降、EUはどうやって化粧品を売り出してるんですか?」
資生堂「わかりません」
JaCVAM「ですから、EUはREACHがあるから、REACHで確かめるんですよ」
というやりとりがありました。
「え?」
REACHは、医薬品・化粧品は対象外ですから、これの意味するところはつまり、化粧品以外の目的をつけることで動物実験するという裏技が使われているということだと思うのですが…
間違ってますでしょうか、この解釈? (※しかし間違いかもしれないので追記参照)
ちなみに、REACHは医薬品・化粧品は対象外(※と、よく言われているし資料にもそうあったりするのですが、厳密には追記参照)なので、化粧品原料については動物実験禁止の化粧品指令が優先されるはずですが、化粧品だけではなくほかの工業用品にも使われる化学物質については、やはりREACHでの登録に際してデータがないと判断された場合に、動物実験が必要となってきてしまっています。
追記:REACH規則の環境省仮訳を見てみると、医薬品はそもそもREACHの「登録」の適用除外ですが、化粧品は、最終製品が「サプライチェーンの情報」の部分で適用除外されている形でした。そして、原料については、「化粧品指令が優先される」とあるのですが、それはすでに上市されて使われているもの限定の書きぶりでした。ということは新規物質の場合は……あれ?…ということで整合性の問題になるのでしょうか、よくわかりません。化粧品と工業製品の両方に使われる化学物質については、結局「ケース・バイ・ケース」的な話になっていて、現実にも下記に書いたとおりのことが起きています。
REACHの原則は「ノー・データ、ノー・マーケット」。データがなければ、市場には出せないという考え方です。つまり、いままで人がずっと使い続けてきた原料に対しても、データがなければ動物実験をせよという話です。
すでに、動物実験していないメーカーから原材料を買い付けることをポリシーにしている企業でも、動物実験が行われてしまうがために使えなくなってしまう原料が出始めているそうです。
もちろん、in vitro試験を考慮に入れろと言っているし、動物実験は最後の手段にせよという話にはなっているのですが…
この問題、わかりやすい動画もありますので、ぜひ見てください。(字幕つき)

というより、まず日本の化審法の心配をしろって感じもしますが… 日本でも既存物質に対する動物実験が始まっています。
平成23年度化学物質のリスク評価検討会(第1回有害性評価小検討会)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001sely.html