DSC035660001.jpg
▲雨のパシフィコ横浜
バイオジャパン、行ってきました。今日までやってます。
http://expo.nikkeibp.co.jp/biojapan/2011/
雨だったせいなのか、会場が一番奥だったせいなのか、以前行ったときほどの活気を感じませんでした。前はもっと展示会場も広く、見て回れないような感じだったと思ったのですが…(違うかな、同じ広さだったのかな?) 不況のせいなのか、展示にはあまり力を入れなくなったのか、理由はわかりませんが、そういう印象をもちました。
ただ、新聞報道されていたセミナーは横浜市長、神奈川県知事、川崎市長(なぜか挨拶はこの順番)まで来ちゃって、立ち見もあって華々しい感じではありました。
どうも、この自治体は9月の30日にバイオで特区申請をしたそうなんですね。
「世界に打って出たい」神奈川県、横浜、川崎両市が特区PR
http://sankei.jp.msn.com/region/news/111005/kng11100523250010-n1.htm
横浜市:「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」の指定申請書を提出しました!
http://www.city.yokohama.lg.jp/keizai/happyou/h23/230930sinsan.html
神奈川県:総合特区制度に関する提案について
http://www.pref.kanagawa.jp/press/1009/050/index.html
川崎市:総合特区制度を活用したライフイノベーション分野の拠点形成
http://www.city.kawasaki.jp/20/20rinkai/home/tonomachi/lifescience.html
羽田空港に近い川崎の殿町3丁目で進んでいた開発事業は、キングスカイフロントという名称になったらしく、4つあるバイオ拠点のうちのひとつに入れられていました。
http://www.ur-net.go.jp/tonomachi/
このキングスカイフロントに真っ先に入居して、新研究所を建設したのが、先日環境省の小委員会のヒアリングにも呼ばれていた実験動物中央研究所(実中研)です。創立者の野村さん(「六匹のマウスから」の人)の息子さんが三井物産で医薬品の仕事をしていたそうですが、いまは実中研の理事となり、この日もスピーチをしていました。(だからこの人も野村さん)
つらつら思い起こすに、殿町の新研究所の話の公表があったのは、JAVAが沖縄県金武町の実験用マーモセットの飼育生産施設建設計画を 中止させた直後くらいでした。あの施設計画も、実中研のものだったんですよね。バイオジャパンでは、新研究所建設にあたり住民からも動物愛護からも反対運動がなかったと言っていましたが、その前に金武町の話、だめになったじゃ~んと思わなくもなかったです。(むしろ彼らには都合がよかったのか?まさかね)
そして、あの土地は、ささやかながら他のことに使ってほしいという運動はありました。野鳥・生きものたちのために使ってほしいという願いは潰えてしまいましたが、橋がかかってしまうと完全な自然破壊になってしまいます。
http://www.mmjp.or.jp/wbsj-k/new/08new/2008.8.30.html
多摩川河口と神奈川口構想のページ
http://www.mmjp.or.jp/wbsj-k/hogo-kansatu/kanagawaguti.html
それにしても、実中研に限らずですが、羽田に近いことが利点としてものすごく挙げられていたのは驚きました。例えば、成田では、輸入した実験動物が炎天下に野ざらしにされて死亡することなどがあったが、羽田は温度管理がされているのだそうです。(それは羽田がいいんじゃなくて、成田がひどいんだ!!)
また、人間も海外から日帰りで来れると言っていたので、驚きました。(そこまで必要…?)
実はこのセミナーではタケダからも話がありました。オープンイノベーションといっても、まだお話できるようなものは何もないという結論でしたが…
ちらっと気になったのは、他の人から「武田のアリナミン工場跡地は土壌汚染があって、研究所にしかできなかったんですよね」という発言があったことです。研究所って土壌汚染していてもいいのでしょうか。実験に影響しないのかな…。研究所があれば結局土壌汚染されるからいいということなのか…。この日は住民の方も聞きにきていたようだし、何だかいろいろな思いが駆け巡る一言でした。一緒に行った方とも、アリナミンでなぜ土壌汚染するのかという話になりました。
バイオ振興といっても、きちんと環境問題などもカバーするべきではないでしょうか。
ただ、特区ですから規制緩和を求めているわけですが、医療機器の承認でも、日本はかなり細かくいろいろ求められるという話が出ていました。具体的にどこを減らしてほしいのかは言っていませんでしたが、医療機器の動物実験もかなりされているので気になるところではあります。
実中研が話をしていたし、もちろん動物実験もじゃんじゃんしたいという話ではあるとは思うのですが、特区の意図するところは、動物ではなくさっさと人間に橋渡しをしたいということなのではないかな、とは思います。
というのも、日経バイオ・宮田さんが司会だったのですが、アメリカの知人が日本の展示会だか学会だかを取材しに来たときも、「ネズミの研究しかしてないじゃないか」と言って3時間で帰ってしまったという話をしていたからです。
なので、「動物ではなくヒトの研究を」という観点からすると、悪いことばかりではないのかもしれませんが…ただ、その場合も被験者保護がおろそかになってはいけないし、特区申請が通るのかどうかは気がかりなところです。企業栄えて人が去る状況になっても問題ですしね…。
なんというか、バイオという人間の欲望をターゲットに、関係者が巨大な引きよせをやっているような感じがした1日でした。タケダや実中研すら、巨大なバイオ利権をめぐる官民メディア複合体の中のほんの一部にすぎないのだと思います。
DSC035690001.jpg
▲タケダのブース:アリナミンの展示だけかと思いきや、新研究所の紹介映像も脇でやってました
展示会では、日本バイオインダストリー協会のブースで生物多様性条約関係の翻訳などの冊子をゲット。ABS対応のためのセミナーもあったのですが、微生物の話が多くて結構寝てしまいました… 展示会は体力使うので、寝ていかないとダメですね^^;