イギリスで、霊長類の実験利用に関する評価が行われたことについての報道がなされています。
この評価は、ロンドン動物学会の会長でもあるパトリック・ベイトソンによって行われ、対象となった研究は1997年1月から2006年12月のあいだに行われたものとのこと。それらの研究では約3000匹のサルが使われました。
評価内容は、おおむね科学の進展に寄与しているという体制側^^;な内容…と思いきや、それでも何と! 霊長類を用いた実験の10に1つは、科学的もしくは医学的、社会的利益が引き出せないと報告されているんだそうです!
科学的評価は高いとされる神経科学研究も31件が評価され、その半分は動物がかなり苦しむものでしたが、医学に直接貢献するような利益はほとんどないと判断されたとのこと。
苦痛度がかなり高いとされた幾つかの研究も、科学的に最高レベルの品質ではないと判断されました。そのうちの一つは、イギリスの資金によって海外で行われたものでした。
ベイトソンは、「資金提供者や研究者は、サルを用いた実験の医学上の利益を誇張して表現してはいけない」とも言っているそうです。
イギリスでは大型類人猿の実験利用は1997年に禁止されており、現在使われているのは、主にマカクとマーモセットです。
実験関係者側は、すでに実験手順の改善はなされたとか何とか言っているようですが、アニマルライツ側は当然反応しますよね…。
BUAVはこう言っています。
「霊長類に特別な保護を与える規制が導入されてから25年経った今でも、人には利益がないのにサルたちが破壊的な影響を受けるような実験が数多く行われているのは、衝撃的です。霊長類を完全に保護し、医学研究をより生産的にする唯一の方法は、明確な禁止しかないでしょう。」
Bateson report: Monkey research can be improved
http://www.bbc.co.uk/news/science-environment-14294642?tr=y&auid=8720227
Nature blog:
Primate research gets provisional thumbs-up in UK review
http://blogs.nature.com/news/2011/07/primate_research_gets_provisio.html
U.K. Panel: Primate Research Is Justified, But Don’t Overstate Its Benefits
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2011/07/uk-panel-primate-research-is-justified.html