「化学物質国際対応ネットワークマガジン 第35号[附録]」(2011/07/21 配信)より
http://www.chemical-net.info/
2011年5月18日にヘルシンキで開催された欧州化学物質庁(ECHA)の第5回関係者会議の情報がメールマガジンで流れてきました。(日本語で読めるってうれしい~♪)
セッションごとのECHAの説明・見解のうち、動物実験削減に関する部分を一部引用させていただきます。
【REACH規則の試験(動物試験を削減するための試験計画への対応)】
              Michelle Thew, Chief Executive(ECEAE)

 欧州域内では動物試験の廃止がすすめられており、REACH規則においても脊椎動物試験は、第25条(1)に基づき最終的な手段となっている。そのためには、代替手法を促進し、データを共有、試験提案を行うことになっている。2010年の登録では、登録数は当初の予想を大幅に下回ったが、依然として13百万件から54百万件の動物試験が見込まれている。試験提案に対しては、45日のコメント期間が設けられている。2009年8月から2011年3月にかけて、49物質に関する82件の試験提案があり、2010年12月の登録締め切りまでには、709件の試験提案(100万固体の動物試験に相当)がなされ、90%以上の動物が生殖毒性試験とエンドポイント試験に用いられる。科学的にECHAが対応すべき事項として、28日間生殖毒性スクリーニング試験を排除することにより450万の動物が救われる。また、系内皮膚刺激性試験の活用も推奨されており、詳細はECHAのガイダンスを参照願いたい(http://echa.europa.eu/publications_en.asp )。その他、OECDの拡大一世代生殖毒性試験(OECDドラフトTG)の採用と動物試験の削減を行う必要がある。当該部分の登録一式文書の公開と試験提案の結果の公開が必要であると同時に、関係者が加盟国委員会(MSC)に参画すべきである。試験提案の評価は非公開であり、ECHAの試験は公開されず、試験提案の主要な情報も明らかにされていないので改善が必要である。REACH規則に加え、指令2010/63/EUにより、加盟国は動物試験を回避する義務があるが、登録一式文書では、ラビットの皮膚刺激性試験、予備試験、化粧品材料に関する試験などが提示されている。ECHAは、このような課題に対し努力しているものの、動物試験が最終手段であることの啓発が必要であり、産業界側は2013年及び2018年登録において動物試験を回避する努力を行うべきである。動物試験削減及び回避に関するECEAEの支援は、 reach@eceae.org に相談いただきたい。

———————————————————————-
【質疑応答】
Q:REACH規則に基づく2010年登録に間に合わなかったものの対応はどのようになるのか確認したい。
A:ECHAに事前に相談しかつ予想することが困難な理由がある場合が前提であるが、対応がDCG(The Directors’ Contact Group)で検討されている。

Q:生殖毒性試験において90日間の試験結果がある場合は28日間の試験結果が必要ないことを確認したい。また、第一世代試験があれば第二世代試験の必要性がないことも確認したい。
A:生殖毒性試験に関しては指摘の通りであるが、逆の場合は免除にはならない。また、第一世代試験は、第二世代試験の結果に置き換えることは出来ない。なお、試験提案については、附属書IIの脚注に示されている注意書きを参照願いたい。試験提案の詳細については、加盟国及び委員会と検討している。