2月27日に開かれた日本実験動物協会のセミナー、「実験動物の福祉-国際的動向とわが国の現状-」で仕入れたネタを小出しにしていてすみません。
その中の「OIEの実験動物福祉綱領」という講演の中で出た面白い話。
実験動物の取り扱いについて、英語では”care”という単語が出てきます。さらっと「飼育」や「世話」「飼養」と訳されることもあると思うのですが、実験動物の場合であっても、この単語には精神的・情緒的・道徳的意味が追加されてきているということでした。
そこで27日の講演では、「今日は試しに、”care”を『愛護』と訳しますよ」という試みがあったんです。
エーッ!? 愛護?? ちょっと(私でも)びっくり。
確かに、”care and use”や”veterinary care”を含め、実験動物の”care”って日本語だと何と訳したらいいんだろ?と思うことがよくありました。
「飼育」? 「世話」? 「管理」と訳されていることもあるし、ペットの話だと「看護」もあります。
そういえば、”care”には、他にも「心づかい」「留意」「手入れ」といった意味もありますよね。そういう、注意をはらいながら大切に扱うような気持ちが入っていて、なおかつ実験という状況に合った、しっくりとくる日本語ってないな~と思っていました。
実際に、「あ~、早くブログをアップしたいのに、このcare、何て訳したらいいんだろ(イラッ)」とか思ったこともありました^^; 面倒だから「ケア」にすることもできますが、指針や法律の訳だと、なんとなく日本語にしたくなりますもんねぇ。。。
「管理」という訳は、確かにモノ扱いでどうなの?と思うけれども、でも”veterinary care”を訳す場合は、日本語で「獣医学的」に続けて納まりがいいのは、「管理」かもしれないんですよね。「看護」も、実験動物だとしっくりこないし…場面が限定的な感じがします。
(でも、はっきり「管理」という訳の功罪を問うた意見もありました。そこまで言うんだ、すごい(-o-) !)
ということで、この日は「愛護」ってなるほどなーと思ったんですが、ただやっぱり、「獣医学的愛護」などの例を考えると、スゴすぎる語感ですよね^^;
私も、会場から発言されていた製薬会社の方の意見が、すごく妥当に思えてしまいました。「愛護」というのは、ちょっとどうなのかなと感じてしまう、という意見。「愛護」には、もっとプラスアルファの気持ちがあるんじゃないかと。
とりあえず「ケア」というカタカナ語じゃないですかね、今のところ~という話もされていました。
その後、他の演者の方から、アメリカとEUで”care”のニュアンスはちょっと違うという補足もありました。畜産技術協会が、「動物福祉」とは言わず、「アニマルウェルフェア」を採用した話をされた方もいました。
たった一つの言葉ではありますが、実験動物をどういう気持ちでどう扱うのがいいのか、この議論はちょっと示唆的なものがありました。
そういう議論を呼ぶために、意図的にあえて「愛護」の提案を試みられたのだと思います。
[ひらめき] careを辞書で引く
追記:
ちなみに、「愛護」という語は、もともとは”welfare”の訳語としてつくられたと読んだことがありますが…どこに書いてあったのだったか。