EUで使われた実験動物の統計2008年版が一旦公開されたのですが、間違いがみつかったので訂正中とのことで、まだ見ることができません。10月中旬からずっとそうなんですよね。すぐ見られるようになるとのことなのでリンクだけ一応。
http://ec.europa.eu/environment/chemicals/lab_animals/reports_en.htm
で、Natureの記事を見てみますと、状況は安定・・・という言葉は使いたくないので^^;、横ばい?のようです。前回の公表は2005年分です。
European research animal use holds steady
http://www.nature.com/news/2010/101007/full/news.2010.524.html?s=news_rss
サブタイトルには、動物ではない選択肢の利用も増えているけれど、遺伝子組み換えマウスは増えているとあります。
使われたのは、およそ1200万匹。研究分野の比率では、一番高いのは基礎研究に使われたもの。遺伝子組み換えマウスの増大とともに、その割合もアップしているとのこと。
そして、全体の3分の2以上の動物が、27のEU加盟国のうちの5つの国で使用されました。 フランス(19.4%)、イギリス(18.9%)、ドイツ(16.9%)、スペイン(7.5%)、イタリア(7.2%) 。EUの製薬企業が本拠地をおく国だそうですが、使用数はフランスが一番高いんですね…。EUの製薬企業というとドイツやスイスを連想しますが、やはり動物の数を抑える努力がされているのでしょうか。(フランスというと、どうも化粧品の動物実験禁止に粘り強く反対した国というイメージが強いのですが…資生堂の国際戦略の拠点だという日経の記事もありましたし…)
代替法については、ロシュの医薬品安全性の専門家のコメントとして、「安全性評価のために使われる動物の削減については、ヒト組織の利用や幹細胞、in silicoの知見がこの分野に大きな影響を与えた」とあります。今後も期待するところです。
それから、新しい代替法によって、皮膚刺激性試験で使われるウサギの数が5,100から4,200に減ったとか、眼刺激性試験だと4,000から2,100に減っただとか書いてあるんですが・・・そこまでわかる統計ってすごくないですか? やっぱりEUはうらやましい。
国が統計をとることはEU指令で義務になってるわけですが・・・統計として出すなら、どこの企業がどの動物を何匹使ったのかは公表されないのだから、日本の企業もこれくらいの仕組みには協力してほしいところ。でも日本企業は閉鎖的だから、そういう話になったら大騒ぎで大反対なんだろうな・・・。たとえばウサギ、1社でどれくらい使っているのかな。EU全体の数字を見たら、びっくりするんじゃかなろうか。(これは勝手な想像ですけど)
しかし、記事の締めは、マウスの使用数を上げているのはボトックスの安全性試験ではないかという話。がっくり。海外の団体が、化粧品の動物実験の話の中でボトックス注射のことを出してくる理由がわかります・・・。
今回の統計ではまだREACHの影響が出ていないですが、次回以降は要注意だと思います。
それから・・・いわゆる「海外へ逃げている」動物実験のことには触れられていないですが、実際どうなんでしょうね・・・。