科学予算の話題が世間を(というか、科学界を?)にぎわせているみたいだけど、じゃあ国全体の科学技術予算っていくらくらいなんでしょふ?
来年度予算案はビミョーにまだとして、文部科学省の「サイエンスポータル」の予算のページで21年度予算のPDFファイルを見てみると・・・
「科学技術関係予算全体は3 兆5,548 億円であり、厳しい財政状況の中、前年並みの数値となっている。」
http://scienceportal.jp/trend/budget/
と書いてあります。(この数字は当初予算の話なので、補正予算は入ってないです)
いやー、なんだかすごくお金出ているような? 一般会計だけで比較すると、国全体の予算88兆5千億のうち3兆が科学技術予算・・・想像したより多いかなぁ、やっぱり。生活保護費より1兆円も多いのも意外。
(って、その比較をする深い意味はないんですが、ちょっと事業仕分けのこの言葉を思い出したもので>「ポスドクの生活保護のようなシステムはやめるべき。本人にとっても不幸」>>競争的資金・若手研究育成)
でも。3兆5000億って驚くけど、実は日本の民間(企業など)の科学技術研究費も合わせると、国全体の科学研究費っていうのは、19兆近くあるわけなんですよね。
こっちはアンケート結果による統計ですけど、こんな感じ↓。
統計でみる日本の科学技術研究
http://www.stat.go.jp/data/kagaku/pamphlet/s-02.htm#s21
研究主体別研究費
「平成19年度の研究費を研究主体別にみると、企業等が13兆8304億円、大学等が3兆4237億円、非営利団体・公的機関が1兆6897億円となっています。
 研究費の割合を、研究を実施する主体別にみると、企業等が全体の73.0%を占め、大学等が18.1%、非営利団体・公的機関が8.9%となっています。」

支出源別研究費
「平成19年度の研究費を支出源別にみると、民間の割合が研究費全体の82.2%を占め、国・地方公共団体の割合が17.5%となっています。
だから、実は日本の「科学技術立国」っていうのは、実は資金的には、民間が支えている部分がかなり大きいのではないかと思ったりするんですよね…。
ちなみに、高度成長期からの科学予算の推移はこんな感じみたい↓。
学制百二十年史
第三編 第九章 第二節 一 国全体の研究費と大学等の研究費
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpbz199201/hpbz199201_2_208.html
表7 研究主体別研究費の推移
民間が主にやっているのは何かに使うための応用研究なわけで、お金にならない基礎研究は国が資金を出すべきだ云々という主張が待っているのはわかっているのですが、でも「立国」を目的にするのなら、やっぱりその言葉には、経済的な立国というニュアンスをどうしても感じてしまいます。
基礎研究についても、以前読んだ下記の本などを引っ張り出してくると、単に研究費を増やせばよいというものではないという感じがしてしまいますしね。

検証・なぜ日本の科学者は報われないのか

検証・なぜ日本の科学者は報われないのか

  • 作者: サミュエル コールマン
  • 出版社/メーカー: 文一総合出版
  • 発売日: 2002/03
  • メディア: 単行本

ノーベル受賞者の小柴さんも、「科学予算のうち、科学者に来るのは1割ぐらいしかない」と訴えたと書いているブログもありました。報道だと、「基礎研究に予算を」みたいな話ばっかりが取り上げられてるけど。
関係ないけど、上記の本に、お金がなくてラットが買えなかった話が載っていた。ほぉ~?