IAHAIOのフォローアップ・シンポジウムがあるということで、先日行ってきました。
午前中は、ペンシルベニア大・ジェイムス・サーペル教授のお話。人類が動物をどう見てきたかの歴史のお話などなどでした。
最後に、アニマルライツとアニマルウェルフェアの違いの話がでてきて、廃止論と福祉論の違いについても説明をしていたのですが、通訳の方がそこを訳しませんでした。アボリションと言っていたし、レジュメにも書いてあるし、間違いなく説明していたのですが。
私は結構ここは大事なことだと思っているし、この違いを語るのがアニマルライツの最近のトレンド(かな^^;?)ですらあるように思う中、日本で海外の方がアボリショニスト・アプローチについて話すのを初めて聞いたような気がするので、たった一文ではありましたが、「飛ばされた」と思ってけっこうがっかりしました。
でも・・・最後に、不勉強で難しくて訳せないところがあったと詫びていらっしゃいました。
あ・・・そうか・・・。わざととかじゃなくって、やっぱマニアックすぎるんですね、この話題(汗)。ちゃんとそこをわかっておかねば・・・と逆に肝に銘じたりして・・・(汗)。
それで、午後は、「動物愛護管理法の改正に向けて~現行法の活用と限界」というセッションを聞きました。
正直、現実と理想の乖離のようなものを感じました。詳しく書く時間がないのでその一言にさせていただきますが、一点、なぜ奈良市の課長さんの話が重要なのかの意義が、前回の動物との共生を考える連絡会のシンポジウムを聞いていないと今一つわからなかったのではないか?と思ったので、mixiの日記にアップしていたそのときのレポートを末尾に転載します。
(でも私も、いまひとつちゃんと説明できていないかも・・・すみません)
動物実験についても少し応答があったのですが、なぜ法規制が研究者から抵抗を受けるのか?の理由は、実験者に対する海外でのテロ行為がやはり懸念材料になっていて、動物愛護は非常に警戒されているとのことでした。
うーん、でも。海外では施設を登録したり、使用動物数を報告したりすることが義務化されているからテロが起きているのでしょうか? 違うと思います・・・。なぜその二つをつなげて議論するのかがよくわかりません・・・。
(むしろ、来日した動物実験推進団体の代表である医師の「演説」を聞いたとき思いましたが、かなりアニマルライツ活動に対して先鋭的な態度をとっている研究者群がいて、活動家の人格を否定するようなことまで言ってるわけですよね。ああいう物騒な態度が、逆にアニマルライツ運動を先鋭化させている面もあるのではないでしょうか。海外で活動したことはないので、わかりませんが・・・。でも、日本にはあそこまで言う人、いないよなぁ?なんて思ったり。単に市民運動の経てきた歴史の違いもあるんでしょうけど。)
廃止論で知られるゲイリー・フランシオン教授が書いていることなど思い出しました。(別に廃止論は危ない活動ではないのです。動物への非暴力を訴えているのだから、自らも暴力は使うべきではないという、至極真っ当なことを述べています)
On Vivisection and Violence

On Vivisection and Violence


シンポジウムでも、「動物を人間の所有物とするところを少しでも変えていければ」という話が出ましたが、まさにそれこそがフランシオン教授の言っていることです。
以下は、話は戻って、前回の動物愛護法改正についてのシンポのレポートです。ご参考まで。

昨日(6月27日)、動物愛護法見直しへ向けたシンポジウムを連絡会が開催していました。
久しぶりに動物関係のイベントへ行き、刺激を受けてきました。
内容は、かなりよかったです。
もうちょっと人が来てもよさそうなのに・・・
実は昨日は多摩動物園の「モグラ・サミット」もあったのですが
涙を飲んで連絡会シンポへ行ってよかったです。
(うっ、ほんとはモグライベントにも死ぬほど行きたかった。)
で、連絡会シンポで目からウロコだったのは、
いまの法律の範囲でも、「虐待された動物の没収」と「飼育(一時)禁止」は
可能なのではないか?という話でした。
やっぱり、運動には弁護士さんの知恵は本当に必要です・・・。
すごいなと思いました。
もちろん、どちらの裏ワザも、まだ判例はないし、
なかなか微妙なところもあるとは思うのですが・・・
まず、虐待された動物の没収については、
「刑法」第19条
次に掲げる物は、没収することができる。
一 犯罪行為を組成した物
これが使えるのではないかと。
動物なしに動物虐待事件は起こせない、というわけです。
ちょっとへりくつっぽくなるけど、なるほど~
狂犬病予防法違反事件については、この考えに基づいて
一度ワンコ没収の事例があるんだそうです。
  ↑ この画期的なケースが実は奈良市なのです。
でも、一審がのちに覆って動物は返却されたとか・・・
確かに、予防注射をしていないことへの罰則については、
ちょっと解釈上、厳しいものがあったかな・・・ということみたいで。
でも動物虐待事件では、まだ判例がないので、
検察へ嘆願するような活動をしたらよいと言っていました。
それから、「動物の飼育禁止」については、
長期間の執行猶予がつくような場合、もしくは2度目の執行猶予の場合などは、
保護観察というのをつけることができるのですが、
その際に、「指導監督を行うため特に必要な事項」を
具体的に裁判所が指示することができるのだそうです。
つまり、動物虐待であれば、当然動物を飼育することを禁止することは
可能なのではないか?とのことでした。
ただ、長期間の執行猶予が付くのは、けっこう重い事例だと思うので、
動物虐待でとなると、かなりひどい事件に限られるのでは・・・という気もします。
愛護法の罰則の上限をやっぱり引き上げないと無理なのかも?
それからこの話で思い出したのですが、
世間的には、保護観察は「ほとんど自由だし意味がない」みたいなことも
話題になってきたかと思うのですが、
性犯罪に関しては、認知行動療法をベースにした性犯罪者処遇プログラムが
一応立ち上がっているみたいですよね。
(どの程度成果があがっているのかは知りませんが・・・)
だから、理論的には、動物虐待も同じような心理プログラムを
受けさせることができるんだと思います。
日本でそういうプログラムがどの程度確立可能なのか、、、が問題だとは思いますけど。
(あと、動物のためにそういうものを付ける処遇をしてくれるか(^^;)
保護観察については、裁判所へ嘆願する運動をするとよいと言っていました。
(検察は、求刑はするけど、執行猶予を求めることは通常しないので)
前科がなければたいていは執行猶予つきになるので、
「飼育禁止」+「心理プログラム」付き保護観察が普通になると
かなり対策としては具体的かなと思うんですけどねぇ・・・
何ごとも判例なので、とりあえず今は一つ一つ声を上げて
勝ち取っていくしかないのかな・・・
道は長そうですけど、けっこう具体的な話が聞けてためになりました。