百マス計算でバカになる (光文社ペーパーバックス)

百マス計算でバカになる (光文社ペーパーバックス)

  • 作者: 寺脇研
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2009/02/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

サイエンス関連のメルマガで紹介されていたので、気になって読みました。というのも、「日本は科学技術立国をめざすな」という章があり、このご時世に科学技術予算に4兆円もまわすな、それだったら医療と福祉に使えと書いてあるんですよ! もう、激しく同意です。
しかも、著者は文部科学省にいた人。ああびっくり、文部科学省にこんな人がいたのか。
「決して終着駅のない科学開発」。ほんとそうだと思う。これは、社会が科学開発を求めているからというより、科学者の欲望に終わりがこないからこの状況が続いているのだと思う。だいたい、貧困が広がっていて医療や福祉にアクセスできない人が増えていて、このまま進んだら新しい科学技術の恩恵なんてだれも浴せない世界になるのに、なぜ科学振興費に4兆円も? 理科離れだけがことさらに取り上げられるのも、ほんと疑問に思います。(前にもブログに書いたけど)
この人、ゆとり教育の件でかなりネット上ではバッシング受けている人みたいだけど、「文化予算はゼロにしろ」という章もあって、この2章は激しく同意だな。
まぁ、文化予算に疑問を持ったのはもっと小さな理由なんだけど。ちょっとその話をすると・・・。
実は何年か前のことだけれども、芝居で使ったラットを飼ってくれる人を探しているというメールをもらって、目が点になったことがあったのです。
「はぁ? なんじゃそのずいぶん無責任なご相談は!?」と思って、その劇団のサイトを見てみたら、ラットは、まさにその興行のためにペットショップで購入した模様。しかも芝居の中では、ラットを透明の筒に入れられて、天井からかなり高い位置にぶら下げられていました。
ようするに、芝居のために動物を買ったけれども、飼う気はないので、好きな人誰かよろしくね!みたいな無責任なノリ・・・。それで、全く申し訳なさそうじゃないのね。私のようなサイトをやっている者にも平気でメールを送ってこれるわけね。
この時点でかなりKYなものを感じていたんだけど、はっきりいって、その興行は動物愛護法違反だった。
といっても動物虐待罪ではなく(私は十分虐待だと思ったけど)、動物取扱業の無登録での興行ってこと。東京都の動物愛護相談センターに確認もしたけど、やっぱり無登録だし、違法であるのは間違いなかった。
センターは、その劇団の責任者に電話で注意をしてくれたとのことで、そうしたらその日急に、mixiのコミュに書き込まれていたラットの里親募集の投稿が削除された。(ほぉ~、多少はびびったんか?)
で、この話が文化予算と関係してくるのは、調べたらそのメールをしてきた奴(その劇団の代表)、その直後に文化庁からお金をもらってパリに留学のご予定があるという。ふざけんな!って感じ。
実は私には、ラットはやっぱり自分で育てるなんて返信が来たけど、ばかばかしいですね、嘘は明白。お前はパリに行くんだろ?って感じ。前にも金魚を使ったことがあるしどうのこうのって自己保身してたけど、何だ? 生き物をそんな形で使っていいと思っている時点で、こんな「芸術家」に金払う文化庁って何? たいしたことやってなくない? 必要なの?とまで思いました。
今でも、こいつを刑事告発すればよかったと思っています。パリに行く前に。そうすれば、無駄な税金を使わせないで済んだかもしれなかったもんね。あー失敗!
まあそんなこともあって、文化庁がこんな制度を作っていること自体、かなり疑問に思いました。
だいたい、公からお金をもらわないと継続できない芸術なんて、芸術としてはもう死んでしまっていると思う。人々に感動を与えていれば、それだけの見返りはもらえるはずだし、金をもらったらあまりとんがったことはできなくなるというのも、本当だと思う。
(まあ、過激な芸術って、けっこう動物をいたぶる方向へ行くことが多いから、そういう意味では金でももらって、平坦な表現になったほうがいいのかもしれないけど???)
とんがったことができるのは、やっぱり補助金とかもらってないからですよね。動物愛護といえば過激な行動みたいなイメージがあるのも、動物愛護の世界は国や自治体から金もらってやってないからというのがあると思う。自然保護とかは、よそからお金もらってやってたりする(民間のファンドのこともあるかもしれないけど)。そういうところは、そんな激しいことは言えないよ。犬猫殺処分についてだって、昔みたいに愛護団体には犬1匹わたさないみたいな感じだと、行政も糾弾されるだけだったと思うけど、犬や猫をくれるとなれば、あんまり激しいことは言わなくなる。
たしかに、遺跡の発掘とか、文化財指定とか、お金を使ってもよさそうな業務も文化庁はやっているのかもしれないけど、どんな人間かもよくわからないであろう「芸術家」たちにお金を使って何なの?って本気で思ったよ。その作品なりなんなりが本当に好きな人が、この人にならお金出してもいいと思ったらパトロンになればいいんだよね。この著者の言ってることのほうが正しいと思う。