隠しカメラがニューイベリアリサーチセンターの密室を暴く!!
と訳すとちょっと週刊誌風でしょうか。テレビニュースで隠しカメラの実験施設の光景を流すなんて、すごいな~アメリカ!!と思いました。要するに犯罪行為だから出せるのですよね。下記ページからクリックすると番組映像も見られます。
何を言っているかは記事をざっくり訳してみたのですが、わかってないところもあったらすいません。
EXCLUSIVE: Ex-Employees Claim ‘Horrific’ Treatment of Primates at Lab
http://abcnews.go.com/Nightline/story?id=6997869&page=1)
2009年3月4日
ラファイエットから2、3マイル、ルイジアナの田舎の風景に、思いもよらぬ収容所の姿が浮かび上がる。アメリカ最大の霊長類実験施設だ。ニューイベリアリサーチセンターは、ルイジアナ大学の施設であり、6,000匹以上の霊長類を飼育している。チンパンジーの飼育数では世界最大級だ。
当番組「ナイトライン」は、HSUS(米国人道協会)による9ヵ月間の潜入調査の結果を入手した。HSUSの調査員は、2008年のほとんどの間、ニューイベリアリサーチセンター内で隠しカメラを携帯していた。ビデオは、閉ざされた扉の向こうでサルや大型類人猿が、HSUSが言うとおりの扱いを受けていることを示している。
ニューイベリアリサーチセンターは公立の施設だ。そして、そこで行われる研究は製薬会社や肝炎研究のための受託研究を含む。研究所は公共の資金を何100万ドルと受けとるにもかかわらず、監視は限られている。
「施設は一般に、非常に隠したがります」と、調査員(匿名を望んでいる)は言う。「実際に起きていることについて、よい情報をたくさん得るのは難しい。ウェブサイトに載っているようなもの以上の光景はめったに見ることはありません。潜入は、何が真実であるかについて知る唯一の方法です。」
HSUSの調査員はABCニュースに対し、チンパンジーたちはしばしば地面から数フィート高いところに置かれるが、鎮静銃で撃たれる際、安全をほとんど配慮されていないと語った。ビデオは、床に激突しているチンパンジーを映している。
「麻酔をかけられたチンパンジーはとまり板の上でゆっくり揺れ、そしてどこからともなく落ちて、床に激しく打ちつけた」と、調査員は言う。「見るのも聞くのも、あまりに耐え難い。」
従業員として中に入ることのできたHSUSの調査員は、研究所員が、拘束されたサルの歯をパイプで3回たたくビデオを撮っている。研究所員はサルの口を開けたかったのだと調査員は言う。
「男は、彼[サル]をこの棒で脅して、同時に彼の歯を叩こうとした」と、調査員は映像の説明をする。
もう一つのビデオでは、指をかまれた研究所員が、幼いサルの頭を殴りつけて毒づいている。
「ナイトライン」の度重なるインタビューの求めに応じて、ニューイベリアリサーチセンターを所有するルイジアナ大は、ABCニュースに対して声明を出した。その中ではこのように述べられている。「大学は、ニューイベリアリサーチセンターにおける動物の飼育に関し、重大な責任を負う。動物のケアに関して責任を有し、高い能力を持つ経験のある獣医師は、とても真摯であり、動物の虐待の可能性についての報告に積極的に応じた」と、ラファイエットのルイジアナ大学学長であるジョセフ・サボア博士は書いている。「われわれが飼育するいかなる動物についても福祉が脅かされることを許容するようなポリシーは持たない。そしてわれわれはその方針を厳しく実行し続ける。」
連邦動物福祉法は、これら霊長類を保護することを定めた法律であり、研究所に対しては、苦しみや痛みを避けるか最小限にするような手順が確かにとられることが求められている。この法律はまた、動物が適切なケアを受けることも求めている。
調査員はABC Newsに対し、ビデオに映った1場面で起きたことについて述べた。「これは、完全に意識があり、目覚めていて、周囲の環境を意識できる赤ちゃんです。そして、彼はのどに何か物を押し込まれている。彼は叫んでいます。そして、彼はずっととても怖がっていた。そして、母親もそこにいたので、他の赤ちゃんや母親の叫び声も後ろに聞こえるのです。」
『ラットやマウスのほうがよりよく扱われるのを目撃』
Narriman Fakierは、2002年秋から2004年2月までこのセンターで100匹のチンパンジーのためのコーディネーターをしており、研究室において違法で虐待的なことが行われていると不満を繰り返し述べたため、辞めるか解雇されるかと言われたと言った。彼女は、その後告発者としてニューイベリアに対する訴訟を起こした。
「私は、実験動物を責任をもって使うことには賛成です」と、Fakierは言う。
Fakierはいくつかの評価の高い研究室で働いたことがあり、彼女はニューイベリアリサーチセンターで行われているようなことはこれまでどこでも見たことはなかったと言う。
「それ以上に、」Fakierは言う。「あなたに話さなければなりません。私はラットやマウスのほうがよりよく扱われるのを見たのです。」
ニューイベリアリサーチセンターは、彼女の告訴は「金銭的利益」のためだとして、Fakierは辞めることを選ぶと言っていた。また、彼女が研究室を立ち去るまで、虐待についての申し立ては間違っていて、なされなかったのだと言っていた。監査委員会は、彼女の虐待についての主張を拒絶した。
FakierとHSUSの調査員は、これまで会ったことはない。彼らがこの施設で働いていたのは、2002年から2008年までの間の異なる期間である。
「ナイトライン」は、HSUSが調査を行っており、潜入調査のビデオが存在するということを告げずにNarriman Fakierとのインタビューを行った。彼女が初めて映像を見たとき、彼女はテープにあることの多くが、5年前に施設にいたとき、そこですでに起こっていたと言った。「彼らはそのままです。何も変わっていない」とFakierは言う。「お金でしょう。この研究、特にチンパンジーの研究に、大金が使われるのです。何100万という金額の話をしています。何百万ドルですよ。」
HSUSで働くマーティン・スティーブンス博士がニューイベリアリサーチセンターの潜入調査映像をチェックした。
「彼ら[チンパンジー]には、非常に複雑な感情があります」と、彼は言う。「彼らの社会生活は、非常に豊かです。彼らは何年間も生きる。そして彼らは、過去のものごとを覚えています。悲しいことに、それは裏を返せばマイナス面もあり、感情や認知の面で優れているということは、傷つきやすさにもつながるのです。」
動物が「欲求不満、神経症、精神病」を示す
ビデオに映った動物たちは、感情面での苦悶や、病理学的には心理的異常を示す、同じ行為の繰り返し、すなわちいわゆる「常同行動」を見せているとHSUSは言う。
「ケージ中を回転してまわったり、開いた傷を噛んだり、自傷したりすることは、欲求不満、神経症、もしくは精神病さえ示す指標です。」とスティーブンスは言う。
Fakierは、ビデオにあったのと同じような苦痛にみちた光景を目撃したと言う。また、ニューイベリアリサーチセンターでは適切なケアなしで動物たちに麻酔がほどこされるのだという。
スティーブンスはこう述べる。「サルがほったらかしにされたため机からすべり落ちて床に激突したのを見たでしょう。あってはならないことです。」
FakierもHSUSの調査員も、霊長類のための安全で適切な飼育施設について法規違反を主張している。
「おりのいくつかには穴があり、床がゆるくて抜けそうなケージもあったので、サルははまってしまっていた」HSUSの調査員は、ケージの穴に腕がかかってしまっているサルの映像について説明した。
調査員の2008の映像についてほかに申し立てられている法規違反には、人間の5倍も強いチンパンジーに麻酔をかけるのに、明らかに保護や拘束なしで運搬している点がある。Fakierは、これが行われていたのは、自分がニューイベリアリサーチセンターに在任した期間にさかのぼると言っている。
「これは、まさに我々が運搬した方法です」と、2人の研究所員が麻酔のかかったチンパンジーの腕と足を持ってバンの後部に置いたビデオを見てFakierは言った。「私たちはもう1匹の麻酔されたチンパンジーの後ろにいます。いつ何時起きるかもしれないのに。もし彼が起たら、走れ、と。」
「私のいた建物は、デイケアに近かった」と、Fakierが付け加えた。
ニューイベリアリサーチセンターにいたあるチンパンジーは、Siafuという名前をつけられていた。Fakierは、チンパンジーがアメリカ式の手話言語で訓練されていたのではないかと疑っていた。
「私は、何度か彼を助けようとしました」Fakierは言う。「彼は手でサインを示そうとしたのに、彼らは彼が何を言っているかわからなかったので、彼はとても失望していて、とてもいらいらしていました。」
『悲劇が起きている』
NIH(国立衛生研究所)は、2000年から2009年の間にチンパンジー研究のためにニューイベリアリサーチセンターに連邦資金から約1800万ドルを与えた。
「ナイトライン」は何度もカメラ撮影によるインタビューを求め断られたが、それに代わるものとして得た声明の中では、このように述べられている。「霊長類を使った研究のおかげで、無数の命が救われた。たとえば霊長類は、現在小児科の予防接種で一般的なA型・B型肝炎のワクチンの開発にとってきわめて重大だった。そのうえ、チンパンジーはC型肝炎ワクチン開発へむけた努力に現在も必要だ。そして、それは世界中の1億7000万人以上に影響を及ぼす。」
ニューイベリアリサーチセンターはまた、動物のケアと使用に関するプログラムについて2008年9月に米国農務省から、さらに2009年にはNIHの動物福祉局から、それぞれ最後の査察を受けており、これらの査察によって、すべてのプログラムが動物福祉法にかなっていることがわかっていると述べている。しかし、米農務省は本日ABC ニュースに対し、研究所に健全であるというお墨付は与えないと語っている。
HSUSの調査員は、研究所にいた日々はとても困難なものだったと言っている。
「私は、できるだけチンパンジーに一対一の注意を払うよう努めた」と、彼女は言う。「私ができたせめてものことは、声をかけ、身体的な快適さを彼らにあたえることだけです。私が続けられたのは、このビデオが発表されることがわかっていたからです。」
Fakierはどうかというと、彼女は法廷出頭日を待つつもりだと言っている。
「私は、システムに対する信頼を失いました。そして、これは私が長年にわたって守ってきたシステムです。私の恐れは、それがこの国のすべての霊長類施設のまわりで続いているということです。そして、それが真実であるならば、悲劇はたった今起きています。まさに悲劇が起きているのです。」
世界的に有名な霊長類学者ジェーン・グドールは、このHSUSの調査に応え、同団体のウェブサイトに声明を出している。「私が訪問したことのある研究室で、これほど多くのチンパンジーが激しい恐れを表すのを見たことがありません。」ニューイベリアリサーチセンターで撮られた潜入調査ビデオを見た後に、彼女はこう書いている。
ABCニュースの調査とHSUSの潜入ビデオの結果、NIHの実験動物福祉局は、ABCに対し、ニューイベリアリサーチセンターに対してなされた申し立てについて調査が行われていると語った。
そして今日、農務長官Tom Vilackが、ABC Newsに対する声明の中でこう述べた。「本日示される映像の証拠を考慮し、ニューイベリアリサーチセンターで動物福祉が実行されているかについて、完璧な調査を命じている。申し立てが真実であることが明らかになれば、アメリカ市民は加害者が完全に責任を問われると思ってよい。私は非常に真剣に動物の保護を行い、動物福祉法を完全に遂行するために、出来るだけのことをするつもりだ。」
HSUSは、侵襲的な研究にチンパンジーを使うことを禁止し、現在使われている1,200匹のうち少なくとも半分を引退させてサンクチュアリに送る議案を提出するために、4人の国会議員と動いている。40年以上も研究所にいるチンパンジーもいるのだ。
詳しい情報は、HSUSのウェブサイトをクリック
Undercover Investigation Reveals Cruelty to Chimps at Research Lab
http://www.humanesociety.org/news/news/2009/03/undercover_investigation_chimpanzee_abuse.html
追記:2012.9.26 リンクが切れていたので、更新しました。
この記事のその後は、以下をご参考ください。
2009-05-18 ニューイベリアリサーチセンター続報
2012-09-27 アメリカ:研究用チンパンジー110匹が引退へ