Opposing view: Replace animal experiments
http://blogs.usatoday.com/oped/2008/12/opposing-view-1.html
動物実験を代替しよう
動物実験は残酷であるだけではなく、人間の利益になるかどうか疑わしい。
John J. Pippin
動物実験をめぐる批判的な議論については、脅迫や暴力を用いた、間違ったものがたくさんあります。そのようなやり方は、我々の社会において憎しみの対象であるだけではなく、動物実験と人間の健康に関して、重要な点をおおい隠してしまいます。
私は、心臓専門医であり、もともとは動物実験をしていた研究者です。私は、そのような研究において医学的な価値を疑いはじめたのち、動物で実験することを止めました。今日、ますます多くの医者や科学者、研究機関が、動物を用いない研究や試験法へ移行することは人類の健康を促進するためにきわめて重要であると考えています。
多くの研究が、動物実験の結果と人間の研究の結果の間の相関関係が乏しいことを示しています。そして、メディアが夢のように報道した研究のブレイクスルーは、たいてい人間で失敗してきました。
そういった例はたくさんあります。動物実験を経たHIV/エイズワクチン85種について、197のヒト試験が失敗しています。動物実験で成功した治療法については、150以上もがヒトの脳卒中で試すと失敗でした。糖尿病治療についても、同様のものがすくなくとも24あります。Vioxxは、6種類の動物を用いた8つの研究において成功しましたが、それでも、この抗炎症薬で死んだアメリカ人は、ベトナム戦争より多いくらいかもしれません。
モノクローナル抗体TGN1412は、ヒトの試験で試された500倍の用量でもサルでは安全でしたが、それでも2006年に薬を与えられた6人の英国のボランティアすべてが死にかけました。逆に、単なるアスピリンは、少なくとも7つの動物種で先天性欠損症をもたらしますが、ヒトの妊娠では安全です。一卵性双生児でさえ病気への感受性が異なっているのですから、どうしてマウスやサルで答えが見つかると思えるでしょうか?
米国国立がん研究所は、現在、ガンとHIV/エイズに対する治療法を試したり、薬品の毒性を見つけたりするために、ヒトの細胞や組織を用いています。また、全米研究評議会は現在、動物を用いた毒性試験をin vitro試験(試験管内試験:動物を用いず、細胞などを用いる方法)と入れ替えるよう勧めています。
私は、動物実験が本質的に残酷であるということを証明できます。動物保護法があることで、この現実が軽くなることはありません。人道的な問題や人間の利益についての議論とは関係なく、動物実験を、ヒトという種に特有な問題に正確に対応できる方法に入れ替えなければならないと、エビデンスは示しているのです。それが、健康を増進するための最もよい方法なのです。
※John J. Pippinは、PCRM(the Physicians Committee for Responsible Medicine)の上級医学研究アドバイザーです
USA TODAY 2008年12月15日