「高度安全実験施設」と聞いたら、どんな研究施設だと思いますか? 危険度が一番高い病原体を扱う施設だなんて、このネーミングからはわからないんじゃないかなぁ~~と思います。なんだろう、この言いかえは……と怪訝に思いつつ、下記のシンポジウムを聞いてきました。

新興・再興感染症連携群シンポジウム
高度安全実験施設(BSL-4施設)の稼動・建設への取組

http://www.renkei.jst.go.jp/sympo/emer02/index.html
もらった資料には「一般の方々にも」実情を知ってもらうのが目的のように書かれていますが、シンポの最後に研究者向けだったとの説明。ふーん。でも実際には、こういうシンポを開いたことでまるで市民への責任説明を果たしたように実際のところはされてしまうんじゃないかなぁ?
バイオハザード問題って、施設の設備や立地の問題に終始しがちで、このシンポジウムでもそういった話ばかりだったけど、私は実際には人の問題のほうが大きいんじゃ?と感じています。そのあたりは、やっぱり人材不足と教育の問題はあるという話だったので、「やっぱりなぁ~~!」と思いました。リスクコミュニケーション(という名の広報(^^;?)の話はとても面白かったです。
人の問題というのは、いつもいつも書いちゃうけど、遺伝子組換え実験を規制するカルタヘナ法違反についても、有名な国立大学に対して次々に厳重注意が出ていて、「研究の世界って新しい法律に対応する能力が低いのでは?」「体質の問題もあるのでは?」という印象をバリバリ与えているし、かといって以前からある放射性物質の管理についての規制もぜーんぜん守られていなくて、ほぼ定期的に「管理がいいかげんでした」という報道があることを考えると(つい今月も岡山大学であった)、病原体だけがきっちり取り扱われるという保証はどこにもないと思います。(神戸大なんて、遺伝子組換えした大腸菌を、その辺に流してたんですよっ!!!)
まして、病原体所持に関する規制はできたばっかりで、制度が十分なものなのか、運用がうまくいっているのかどうか、まだまだ不明なことがいっぱい。その上、動物を使う実験についても、諸外国のような制度はないのでやりたい放題……そんな中、「かっちりした施設は作れるんだからいいですよね」と言われても、信頼することはほぼ無理だと思うのですが。
(という話を質問用紙に書いたら無視された(笑))
この動きは、要するに国の方針としてあらたにP4施設を日本に作って稼動させたいという話だと思うのですが、施設のタイプとしては、(1)動物を使わないもの、(2)マウスなどは使うもの、(3)サルまで使えるもの、と3タイプが可能性として挙げられていました。でもね、「まぁマウスくらいは必須でしょう」みたいな話なんですよね。orz
まぁ、それで激しく反応しているわけなんですけど。(にしても、サルは論外でしょ、サルは!! 信じられない…)
実際のところ、診断・検査などのためにBSL-4施設がほしいというのはわからなくはないのですが、動物を使ってまで研究する話につながっていってしまうので「どーして?」と思います。
日本にない病気(感染症)についてまで、どうして日本が研究分野でプライオリティを持ちたいと考えるのかが、根本的にわからないんですよ…。日本にない病気で日本が治療法を見つけて、日本の会社が儲ける? 
その病気で悩まされている現地の人たちが自分たちで研究できるように、そして自分たちの資本で製薬会社なり病院なりを作れるように助けるというのならまだわかるのですが。(実際文部科学省は現地に研究拠点を作っているような話もありましたが)
研究所の立地問題についても、「自分の近くは嫌だ」という地域エゴのように研究者の人たちは言うけれど、自分たちにも「日本が研究分野で勝ちたい」という強い地域エゴがあるんじゃないかと思うんです。(日記のタイトルには、研究エゴって書いちゃったけど)
別に日本で結果を出さなくても、海外に行って研究しても国際貢献だと思うし、どうしてなんだろう??ととっても不思議です。