先週の土日は、有害化学物質削減ネットワークのシンポジウム「どうする化学物質管理 化審法改正に向けた市民からの提案」と、薬害オンブズパーソン会議のシンポジウム「歪められる医薬品評価ー産官学連携への警鐘ー」と、2日間シンポ続きでした。
どちらも非常に面白かったのですが、ただ、雰囲気は対照的でした。
化学物質管理のシンポでは、現在さまざまな法律でバラバラに扱われている化学物質に対する政策をもっとトータルにながめ、共通の理念・戦略を定める基本法つくろうということが提案されていて、この「化学物質政策基本法」の下に入れる個別法の中には、薬事法も含まれる構想。つまり、化学物質問題のほうが薬の問題を含む形でより広い範囲を扱っているにもかかわらず……たくさん人が来ていて、雰囲気も盛況だったのは薬害シンポのほうでした(アレぇ)。単に海外から講師を呼んでたからとか、宣伝の規模とか、そういう問題だろうとは思いつつ、なんだか複雑な気持ちになるのでした。
化学物質のほうは、若い人も少しはいましたが、なんというか、多少高齢化しているというか……。若い世代にも、いわゆるエコ派・オーガニック志向で有害化学物質を使った製品は避けたいという人はとても多いはずなのですが、では法律を変えようとか、規制強化させようとかそういう活動になると、かなり関心が遠のいているような気がしてなりません…。会場ではなんだか過去の運動になりつつあるんじゃないかくらいのものがあって、「これでいいのだろうか!?!?」という感じがしてしまいました。
反面、なんだか薬害シンポのほうは、ものすごく人が来ていて、会場が華やかでした…。薬を必要だと思って日ごろ使っている人のほうが、化粧品・ヘアダイなど他の化学物質も抵抗なく使っていて華やかとか、単純にそういう問題なのかもという感じがしたけど、なんだか雰囲気の違いにビックリ。学生さんなのかな?という人たちも多かった。
薬は患者だけが使うもので、化学物質全般のほうが広く人々の生活に関わっているもののはずなのに、やはり薬の魔術というか、薬のことのほうが大事みたいな意識がみんなどこかにあるのかもね…なんて余計なことも考えてしまいました。まぁ、薬には直接殺される話が多いから、関心高いのかもしれないけど(–;;
(化学物質のほうが、より広い人々に関わるという話は、別にだけ私がそう思ってるだけじゃなくて、厚生労働省の人もそう言っていた。化粧品・日用品は、国民みんなが使うものだから動物実験もやって厳しく規制しないといけないけど、薬を使うのは患者だけだからそこまでじゃぁないでしょう?副作用も許容されるわけで、みたいな話。えー逆じゃないんだ!?みたいな。)
で。化学物質政策基本法のほうは、初めて草案を見せられてその場で必要と思うかどうかと聞かれても困ってしまったのだけど、予防原則などが盛り込まれているのはいいかなー♪と思いました。試験法についてのところは書かれていないしよくわかりません。変に書き込まれないほうが動物たちのためになるのかもしれないし、どっちなんだろうと微妙な気持ち…。
基本法とはどういうものかというそもそも論のお話は、わかりやすくてためになりました。化審法改正については、やはり具体的に何をするのかが見えてこないという話題などがあり、「あーみんなそう思っていたのか」と改めて思いました。
薬害のほうのシンポの話は、「生データにあたると論文の嘘が見える」という話などがあって、とてもエキサイティングでした。どう都合よくデータを切り出して見せているかの実例は、ほんとにビックリですね……。
薬に限らず、たとえば食品安全委員会で審査されてる物質とか、あのレベルで生データをちゃんと精査しているんでしょうか? (とても全部は無理な気がします…)
あとは利益相反の話がメインだったので、それも面白かったのですが、一つなるほどと思ったのは、消費者庁構想に絡んでの話。結局、薬に限らず、動物取扱業でも何でもそうだと思うのですが、行政が許認可・登録などをする業務をしている場合、それを取り消したり、規制したりするのも、その同じところが受け持っているわけですよね。業を推進する業務と、規制する業務を同じ省庁や部署がやっていたりする。だから、自分たちが許認可したものについて、なかなかそれをまた自分たちで取り消したり規制したりしないし、しずらい。そこに問題が生じやすいので、消費者庁のように消費者保護の視点から規制の面に踏み込めるような形の機関を作ることは大事ではないかという話が出ていました。
これは、まさに動物取扱業の取り消しがなかなか行われない問題を知っているので、激しく納得。
あとは、「製薬会社の研究員が医薬品開発には一番詳しいのだから、そういうところの出身者も医薬品の審査のメンバーに入れられるようにするべきでは」という、製薬会社の研究者の意見は、心からかなりびっくりしました。たぶん、こういう会場に来て堂々と言っているのだから、心からそれが良いことだと思って言っているんだろうな~と思って、なんというか、逆に空恐ろしいものも感じました。
ただ、その発言に対しては、かなりボコボコに批判があったので、ホッとしましたけど……。その締めくくりみたいな発言で、「専門家が素人にわかりにくく説明するときは、何か嘘がある」とまで言っていて、痛快でしたよ…。
でも私は、「専門家が非常にわかりやすく一言で説明する時は、何か嘘がある」という気持ちもしていますけどね~(^◇^;。「安全なんですよ」とか「ちゃんとやっているんですよ」とか、「はいはい、そう思ってほしいのね」というとき(笑)。
だって、ほんとうに専門家でいろいろ詳しく知っていたら、「こうでああで、こういうこともあるんだけどこうだから、これくらいのレベルではこう言えると思うんですよ」くらいの説明の分量になるんじゃないかしらねん? 一言で結論しか言わないなんて、怪しいとも言えませんかねぇ…
利益相反については、資料がいっぱいもらえて、うれしかったです。。。少しまとまったページを作れればいいのだけど、、なかなかやりたいこともできていない現状では無理かな……。