11月17日「ストップ!遺伝子組み換え作物拡大―私たちの食べる権利を奪うな―」

11月19日「組み換えか非組み換えか,岐路に立つ食卓」

遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン主催の会を連続して聞いてきました。といっても、19日は3つも行きたいところが重なってしまい、ほんの1時間程度しかいられなかったのですが…

海外からのゲストはジュディ・カーマンさんで、オーストラリアのサイエンティストだそうです。もちろん動物実験を否定する立場ではないんでしょうけど、でも日本の消費者に向かって、きちっと「人体への影響を調べるのに動物での実験は適切ではない。実験に使われるのは、魚、牛、鶏……人体とは構造が異なっている。主な目的は家畜にえさを与えるときのためのもの。鶏が肉を増やしたかどうかなどというテストは、人の健康とは何も関係がない」と言ってくださったのは、ちょっとうれしかったです(T_T)

ほかに実験がらみのところのメモを書き起こすと……

・現在のところ、GM作物は2つの形質しか大事ではない。ひとつは、除草剤耐性。その会社の除草剤についての耐性で、タネと除草剤はセットになっている。つまり、消費者にとってはGM作物を食べることで、より多くの除草剤を摂取することになる。そしてもうひとつは、BT、すなわち殺虫効果のある物質を作り出す形質をもったGM作物。このBT作物は、それ自体が農薬として登録されている(!)。殺虫剤には収穫の前に撒布禁止期間があるが、BT作物は死ぬまで殺虫物質を作り続ける。洗っても落とせない。

・では安全性試験はどれだけ行われているか? ヒトの臨床試験はまったく行われていない。動物実験に関してもきちんと行なわれていない。GMに関しては、科学論文としてはほとんど存在しない。開発企業サイドの試験しか参照されないし、それは一般には公開されない。独立した科学者によっては試験されていない。

・オーストラリアの食品安全に関する機関が出した12の報告書を調べてみたところ、GMとノンGM作物について、組成の調査に関しては、たんぱく質の違いは見ておらず、たんぱく質を構成するアミノ酸を見ているに過ぎない。しかも、試験結果は開発メーカーが出してきたものによる。通常のデータの公開はサンプル数などを公開するが、GMについては公開されておらず、信憑性がない。判明したものに関しても、サンプル数が少ない。

・「実質的同等性」というが、GMコーンについては、サンプルのアミノ酸の構成の半分以上が違っていたにもかかわらず、政府は同等であるとした。何が同等かの定義は存在しない。

・ヒトの臨床試験も行われていないが、動物実験すら必須ではない。何の実験も行なわれていないのに認可されたものがある。

・動物実験が行なわれる場合でも、例えば……

 特定のたんぱく質を出す性質のものについては、そのたんぱく質しか調べない。GM作物が他のタンパクを作る可能性は調べないのはおかしい。その上、そのGM作物が作り出したたんぱく質ではなく、実験用にバクテリアに作らせた「同じ」たんぱく質を使って実験をする。その純粋なたんぱく質をネズミに1滴与えて14日間で「死ぬかどうか」だけを見る。

 他には、トウモロコシの実をそのまま4週間与えただけ。もし4週間のうちに死ななければ安全とされる。ときどきは体重を量ったり、体の中を見たりするが、顕微鏡で組織を見て健康かどうかまではチェックしない。

 この程度の実験なのに、悪い例も見つかっている。それもメーカーのデータの中に。モンサントのRoundup耐性のナタネ、Canola GT73の実験では、ナタネの実を砕いて4週間食べさせる実験がされたが、肝臓の重さが増大していた。(12-16%) ナタネの栄養素が多いからそうなったという説明で、人間は油のみの摂取だから問題ないという説明だが、メーカーは逆に油のみの実験はしていない。(おかしい)

 RR Soyでは、食べさせた母ラットから生まれた子ラットは小さく、死亡率も5倍。

 生殖に関しては、いままでたった2つの実験しかされていない。

などなどでした。動物実験が必要だと言っているようでももちろんありますが、最初に書いたように、動物の試験はヒトの健康を図るための適切な手段ではないという部分もちゃんとおっしゃってくれおり、メーカーが都合のよいデータを出せる動物実験というものについての「疑い方」を教えてくれたような気がします。

それに、通訳の人は「ひどい実験です」としか言わなかったから、「ひどくずさんな、いいかげんな、実験です」のようにもしかしたら受け止められてしまったかもしれないと思ったけど、英語では“Cruel animal testing.”と言っていたから、これって「残酷な実験です」って意味ですよね? じーん(;_;)。

安全性試験がらみの話ばかり書いてしまいましたが、集会の大きなテーマは、オーストラリアがGMナタネを導入してしまったら、日本は遺伝子組換えでないナタネ油の購入先を失ってしまうという話でした。食品を輸入に大きく頼らざるをえない状況は恥ずかしくもありますが、日本が非GM作物を買い支えることでGM作物の拡大を止めることができるのなら、やはり消費者としては買い支えには協力したいです。

遺伝子組換えについては、24日「有機農業映画祭」でも話が出ましたが、ようするにGM作物というのは、アメリカで政府から補助金が出ている作物がターゲットにされて作られているのだそうです。しかもアメリカは、農家にたいして補助金が出るのではなく、作物に対して出るのだそうです。なるほど…。企業に目をつけられるわけです…。

農薬とセットで売られ、栄養価が高いわけでもなく、品種の多様性を失わせるGM作物。動物実験が必要だという話になりがちで、ワタシ的にはそれだけで「なくなってほしい食品」です。どーも安全かどうかという議論だけにすりかえられ気味で、そちらにばかり目が行くと、それも危険なのかも~とも思いました。