3日、「人と動物の共通感染症研究会/学術集会」というのを聞いてきました。といっても、案の定午前中は寝過ごして、午後からの参加……しかも行ったときにはレジュメの冊子がもうなくなっていた……ぐっすん、資料だけでももらうと思って行ったのに、という状況でした。


なので、「ペットショップの不適切な対応により飼い主の重症皮膚疾患の原因となったネコの1例」っていうのを聞き逃しちゃいましたよ(T_T)。


でも、午後の鳥インフルエンザの話も、日本紅斑熱を発見した方のお話も、とても面白かったです。とくに日本紅斑熱の発見は、まさに臨床のお医者さんが患者さんを診ることからなされていて、その上、治療法の試行錯誤も患者さんの治療の中で行われていて、動物実験とは無縁そうなところが感動してしまいました。


最後に、厚生労働省健康局結核感染症課の方から感染症法改正についての話があり、病原菌の所有規制などを盛り込んだ改正案がいよいよ今国会、11月1日から審議にかかっているという話がありました。(そういえばどうして通常国会では審議未了だったんだろふ? 大事な法案なのに……)


新聞等で話題になっているのは、結核予防法が廃止されて結核は感染症法の中で取り扱われるようになるという点ですが、この点に関しては、いままでの法律では結核に感染した動物について何らの法的対処もできなかったものが、感染症法の中であれば対策をとれるようになるという利点があるという話でした。


具体的には?という質問には、獣医師の届出義務にサルの結核を追加することも検討されている様子でした。(天王寺動物園のサルが結核感染していた件が例に挙がっていたけれど、確かに今まで何も規制がなかったのは不思議かも……)


それで、この法改正でもう一つ大事なのは、研究用などで分離・培養された病原菌の所有に関しては、今まで日本では各機関の自主管理に一任されていたものが、やっと国による規制が法的に確立するということだと思います。


おっそろしいことですが、今の今でも、日本では病原菌の所有は自由なんですよね……。「各機関の自主管理」といっても、マニュアルがあるところも半数くらいというアンケート結果だそうで……。法案が成立したら、4月1日施行の予定だそうですが、それまでは自由……こわい……。


それにしても、この「各機関の自主管理」という言葉、動物実験そのものと同じ状況ですね。動物実験もゆくゆくは国家によるなんらかの規制が必要だと思います。


(病原菌の輸送には、公安委員会への届出が必要になるんですよね。動物実験する人も公安委員会に届出がいいなーとか思っちゃいますよ、ホントに)


講演の最後に、文部科学省などの法律であるカルタヘナ法(遺伝子組換え生物規制法)が守られていない事例があるので、事前に十分知らせて行きたいというコメントがありました。そりゃ、あの無法状態を見ると誰だって不安になるわよね……とか思っちゃいました。でもたぶん研究関係者は、厚生労働省の言うことなら聞くんじゃないかなぁ~とも思いますけど。それに、「病原菌を違法に所有」なんて新聞記事にでも書かれた日には、研究者生命終わっちゃうと思いませんか?(と、脅かしてどうする)。(でも文部科学省だって研究者から見たらお金くれるところなんだけどなぁ~? 環境省(動愛法)がナメられちゃうのはわかるけど……。)


  「動物由来感染症」パンフレット


それで、会場においてあった厚生労働省のパンフレットをもらってきました。動物由来感染症についてのもので、なかなか充実していて、イラストもかわいくて(←大事)よさげでした。


そして……ひとつ、「これは他にはない!」と感心したのが、犬のイラストが、ぜんぶ鑑札をつけているっていうこと! そりゃ狂犬病予防法も所管しているところが作っているのだから当たり前だけど……芸が細かいっ!(^^;