愛犬王 平岩米吉伝 





愛犬王 平岩米吉伝

作者: 片野 ゆか
出版社: 小学館


『犬と狼』、『犬の生態』、『猫の歴史と奇話』などなどの本で名前を目にする平岩米吉。私は不勉強であまり詳しく存じ上げなかったのですが、その生涯をつづった本に「小学館ノンフィクション大賞」の帯がついていたので思わず手にとってしまいました。


フィラリアに予防法がなかった時代というのをリアルに体感しつつ……、もっとも驚いたのは、日中戦争が始まった直後に「動物愛護」を呼びかけていた人たちが日本にいたということです。そして、戦争で犠牲になる動物たちに胸を痛めていた人達が、確かにこの日本にいた……。


戦争が始まってしまったら、まっさきに切り捨てられるのは動物。最近、私の周りでもそんな懸念の声をときどき聞きますが、本当にそういう時代を生きてきた先人の足あとを知ることができたのは貴重でした。