環境省の実験動物基準ですが、3月17日に実験動物小委員会でパブリックコメントの結果が公表され、23日には動物愛護部会へ報告がなされました。さっそくサイトにも答申について掲載されています。4月末を目途に、基準を公表する予定とのことです。


「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」に関する答申について
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=6977


■パブリックコメント結果の説明について


 17日の実験動物小委員会ならびに23日の愛護部会で、パブリックコメント結果について概略の説明がありました。意見総数は、297通。意外と少ないかな~思ってしまいました。(他分野のパブコメに比べれば、圧倒的に多いと思いますが) 


 変更点があったところ、意見が多かったところについては、下記のとおりです。変更点は、読みやすくした程度の変更がほとんどです。 



○「必要不可欠」という表現について→変える必要はないという見解。明確に必要不可欠という立場。


※この件については、やはり小委員会でも動物福祉の立場の委員の方がかなり強く反論してくださって、議論にもなったのですが、やはり変わらないまま告示となります。馬の保護管理研究会さんが、サイトに「実験動物基準答申、『必要不可欠』の文言も修正なし」というコメントをアップしていらっしゃいますが、まったく同感です。http://www1.odn.ne.jp/epmrp/)


○定義のなかの「施設」に実験動物繁殖施設を含むことを明記するべき
 →繁殖・販売施設であることをもって自動的に適用されるものではないので追加はしない(!)


○施設の構造の部分の、「立ち上がる、横たわる」等の部分
 →表現の追加はしない。解説書にて具体化する。


○教育訓練等→年何回などの義務規程はできない。解説書で説明する。


○「危害等の防止」の部分で、管理者が動物由来感染症にかからないよう健康管理する対象として実験者も含めるべき→含まれました。


* 実は私、この意見送りました。もちろん実験者に病気になってほしくないという親切心からではなく(おいおい、はっきり言うな~)、実験者がもっとも感染しやすく、かつ施設外に病原菌を広める可能性が高いにもかかわらず、管理者の管理の対象外となっているのは許せなかったからです。でもたぶん、意図的に外されていたのではなくて、単なる「書き忘れ」だろうなとは思うけどw)


○妊娠個体や病弱な個体、実験処置直後の個体などの輸送はしないとするべき→意図するところはすでに文章に入っていると考える。(そうかな!?) 解説書で説明。(是非よろしくお願いいたしますm(_ _)m この意見も送ったので・・・)


○処分方法として、一般家庭への譲渡も含まれるべき→必ずしも必要のあることではないので、記載しない。


※これももちろん(「さよなら、じっけんしつ」管理人ですから、)書いて送ったのですが、はっきりいって「家庭への譲渡などはするべきではないという見解が出たらどうしよう~!」と心臓バクバクでした(^^;;;(ネズミの心臓ですから)


 でもとりあえず小委員会での説明では、一般家庭へ譲渡されることもあるだろうという、「問題なし」と受け止められる説明がありましたので、晴れて実験動物の一般譲渡も「おとがめなし」となったようです! それだけでうれしーい\(^o^)/


○適用除外を外すべき→外さない。(!)


最後の適用除外については、23日の愛護部会で、法律の専門家の委員の方が「将来的にもっとも問題となるだろう点は、畜産目的の実験の適用除外ではないか」と提起してくださって、かなり意見交換がなされたのですが、とりあえず今回は外さないままとなっています。


この部分は、基準制定時、「研究といっても牧場で放し飼いにしているような感じだから」(ほんとか?)という理由で適用除外となったのだそうですが、単にそのときの力関係を引きずり続けているだけに感じます。


委員の指摘にもありましたが、現在ではラボラトリー的な実験もかなりされているはずで、「具体的な数字はわからないが、おそらくマウス・ラットも大量に使われているはずだ」という部会長の発言もありました。こういうとき、統計すらないのはやっぱり議論の土台がないよなーと痛感します。


結論としては、早急に産業動物の基準の改正にとりかかり、その議論の中で問題とされれば将来的には変わる可能性があるかもしれないという印象は受けました。早く産業動物の基準の議論も始まってほしいな、と思います。


また、その結果に対し、最初に問題提起をしてくださった委員の方が、「適用除外といっても、基準は義務ではないし守れないわけではないのだから、なんらかの方法で知らせるくらいのことはするべきではないか」とおっしゃってくださったので、環境省が何かアクションを起こすことを期待しますm(_ _)m


また、環境省のパブコメ意見への回答にでてくる「解説書」ですが、これはこの基準の実施に関する公式見解解説書のようなもので、1冊の冊子にまとめられていたものです。1980年に出されていたものを「書きかえなくても使える」というのはちょっと焦りましたが(^^;;;(っていうか、ずっと絶版だったのが問題><! あたらしいラボは一体どうやって入手していたのか? というより、ちゃんと入手していたのか?)、今回基準の改正に伴ってリニューアルはされる様子です。ここに書き込まれるかどうかも大変重要だと思いますので、意見がある方はまだまだ送ったほうがよいと思います。


 23日の部会では、ほかに


・実験動物は、なくなることが理想という方向性も入れたほうがよい
・立ち入りなどは今後この法律でやっていくのか、他の法律でやっていくのか、方向性の検討もするべき
・ブリーダーの登録など、ペット業界はきっちりとやっているのに、実験動物生産施設が適用除外なのは見直されるべきでは?
・教育もやるところとやらないところが出てくるのではないか


ということを指摘してくださった委員の方もいたのですが、なんだか簡単にスルーされて終わってしまったような気がします。orz